見出し画像

黒船アミューズメントパーク

とてもXの140字以内では収まらなかったので長い備忘録を書きます。

2025年2月22日(土)に溝ノ口劇場で起こったことについて。

むかーしむかし。15年くらいむかし。
黒船」というバンドがありました。
溝ノ口劇場の支配人であるシゲさん(ドラム)
同劇場の専務であるよしやさん(ギター)
同劇場小屋付きスタッフ(正式名称は小屋付きおじさん)のダイキさん(ギター)
ボイストレーナー・脚本家・演出家として活躍するてちさん(ボーカル)
様々なシーンで活躍する現役ミュージシャンのあっきーさん(ベース)

以上5名が20代の頃に結成し、そして解散したバンド、黒船。
このバンドが、昨夜、15年ぶりに一夜限りの復活を遂げました。

ライブのフライヤー(よしやさん作)

事の発端は、1年前の2024年2月22日。
溝ノ口劇場のビルのオーナー様(有限会社インフィールド様)と溝ノ口劇場メンバーで集まって新年会をしたとき、あやさんが黒船が2010年にワンマンライブをやったときの映像(黒船アミューズメントパーク@渋谷eggman)を収めたDVDを持ってきてくれて、皆で鑑賞会をしたときです。
同席していたシゲさんとよしやさんとダイキさんが「やめて~~!!!」と全身で恥ずかしがるのを無視して、オーナー夫妻とあやさんと私は「すごーい!」「みんな若ーい!」「かっこいい~!」「最高~!」とさながら応援上映気分で大盛り上がり。
黒船の3人はあまりの恥ずかしさに、お酒が進み進み…3人がとうとう一升瓶を空にしてしまった頃、誰ともなく「実際に観たかったなあ…」と言いました。そしてそれに続くように、

いや、やろうと思えばできるのでは?」と気づいたのです。

ここから黒船復活の章が始まりました。

「「「いやいやそんな」」」と首と手のひらを一斉に横に振りまくる3人に対し、「「「「いやいやそんな」」」」とすっかりその気になり身を乗り出す私たち。
「そんなの誰が見たいんだ」と聞かれたら、「私たちが見たいんだ」と言い。
「さすがに15年のブランクは…」と弱腰になれば、「時間なんて関係ない。何が問題なんだ」と詰め寄り。
だんだんと白熱していく話し合いの末、ついに…シゲさんが「やりますかあ」と言ってくれました。
待ってた!その言葉を待ってた!!
ダイキさんはすかさず「まじ!?」と。
よしやさんは顔を真っ赤にしながら笑っていて。
そのままあっきーさんとてちさんにも「やるぞ」と連絡を入れ。
1年後の2025年2月22日(土)に、溝ノ口劇場で開催が決まりました。

そんな感じの、すごい夜でした。
私が忘れてしまっているだけで、もっといろいろひと悶着あった気がしなくもないけれど、思い出せる限りかいつまんだ記憶としては、こんな経緯だった気がします。

1年前といえば…私は溝ノ口劇場に本格的に仲間入りして間もなく。
劇場の仕事にも慣れてきて、シゲさんたちとも打ち解けてきた頃。出会って数か月ではありましたが、私にとってはすでに溝ノ口劇場はホームで、皆は大切な仲間でした。それは私がどうこうより、皆の人の好さというか、懐の深さのあらわれだと思っているのですが、私の大好きな人たちが揃ってステージに上がってる姿、生で観れるものならめちゃくちゃ観たいと思いました。それもホームの溝ノ口劇場で!
てちさんやあっきーさんとは当時そこまでの面識はなかったけれど、この3人が一緒に船に乗っていた人なら間違いないと思ったし、解散して15年経っても仲良く連絡取りあってるのを見ても、5人揃った姿は素敵だろうなって思いました。(普段からシゲさんは黒船メンバーとの思い出話をたくさん教えてくれる。やっぱ大好きなんだと思う。)
そして、皆のハレの日に自分がお手伝いできることがあればいいなという想いを込めて、「もし本当にステージ立つなら、照明やります!」とも言いました。照明の「し」の字も知らない人間がよくもまあ言えたもんだなと今は思うのですが、これを戯言と思わずに「1年後まかせた」とシゲさんが言ってくれたから、自分も黒船に乗船する覚悟が決まりました。

あれから1年経ち。
昨日、無事に『インフィールドpresents 黒船ワンマンライブ「15年ぶりのアミューズメントパーク!!」』が出航いたしました。たくさんのお客様と、お花と思い出と期待と歓声を乗せて、泣いても笑っても一夜限りのライブが完成しました。

歌詞が正しく歌えないのに観客を唯一無二の世界観に惹き込んでいくてちさん
ギターソロで黄色い声を浴びれば浴びるほど、ソロの照明用にバミった位置からどんどん前に出ていっちゃうダイキさん
ブレイクとかで照明が音にハマるとニヤッとしちゃうシゲさん
曲間で場をほのぼのさせちゃいながら、パラドックスのソロをバチバチにキメてくるよしやさん
ベーシストとは思えない俊敏な動きをしながら、実は誰よりもうるっと来てたあっきーさん

最高だった。めちゃくちゃ良かった。前日準備のバタバタ感から、よしやさんがチェキ撮られ慣れていないところまで良かった。こんなにもたくさんの人から祝福されて応援されて、もらった拍手や声をぐんぐん力に変えて渾身のパフォーマンスを届けていく5人が美しくて、かっこよくて、ずるくて、羨ましかった。自分が皆と同じだけ歳を重ねた時に同じように輝けるかしら、なんて不確定な未来を想像したりもしました。

右上のほうに後方彼氏ヅラしてる私がいます

私も、シゲさんとの約束通り、1年の間にかき集められるだけの照明の知識と技術を携えて、どうにかこうにか本番を迎えました。
なんともありがたいことに、お客様から照明についてお褒めの言葉もいくつかいただいたのですが、今回の照明を作るにあたって欠かせなかったのが、いたるさんの存在です。
いたるさんは、かつてテレビ局で音楽番組などの照明を設計していたプロの照明師。いたるさんの作る照明は、本当に扇子抜群で、いたるさんの照明に惚れて「次のライブでぜひこの人にやってほしい!」とご指名のオファーを受ける姿を何度か見ました。本当にすごいお方です。
そんないたるさんのお力を、返しきれないほどたくさんお借りして作ったのが今回の照明です。黒船の皆が楽曲ごとにリクエストしてくれた色や、テーマ(遊園地とか空島とかギャングとか)に沿って1曲ずつこだわって作りました。こだわりが過ぎて、日付超えて深夜3時過ぎまで仕込んだ日もあったっけな…夜遅くまで…いや、朝早くまで付き合ってくださってありがとうございました。残念ながらお仕事の都合で、当日は見届けてもらうことはできなかったのですが、いたるさんの念を背負って臨みました。
自分の技術的に納得いかないところもたくさんありましたが、全力は尽くしました!

いたるさん本当にありがとうございました。

あんなに待ちわびた黒船のライブが終わったいま、すごく寂しい気持ちでいっぱいです。
誰一人欠けても完成しなかったライブ。
あんなにも輝かしい時間だったのに。黒船の皆のイキイキとした表情も、オーナー夫妻の楽しそうな顔も、あやさんの泣き顔も、ささみちゃんの幸せそうな顔も、劇場スタッフの皆の誇らしげな顔も、お客様の喜ぶ顔も、みんなみんな目に焼き付いてるのに。もうあの輝きを見れる日はないのかな。寂しいなあ。
たとえもう二度と黒船が海原に出る日はなくても、どうかどうか黒船の皆が、見届けてくださったお客様の皆がふとしたときに思い出すこのライブが、輝かしい光景でありますように。

……とか何とか言いながらも。

一夜限りと銘打ってるからには、再演への道は遠いことは覚悟の上で、でもこれだけは何度でも(ライブ後にも皆にさんざん言ったけど)言わせてください。
「自分、まだやれます」と。

5年後でも10年後でも還暦を迎えてからでも、このnoteに書いてあることがいじられようがどうされようがかまわないので、言わせてください。
「また出航するときには、この船に乗せてください」
自分は大好きな人やもののためなら120%のマルチタスクを発揮できる自覚があります。困った時には、決心した時には、いつだって全力で助けに行く。何度だって全力で「おかえり!よしやるか!」って言う。
照明だって、本番前に楽屋に乾杯用のビール持って行くのだって、映像の叩きだって、チェキ会回すのだって、ドリンク作るのだって、皆のためならいくらでもやる。
溝ノ口劇場で黒船の帰港をいつまでもいつまでも待っています。

毎日が誰かにとってのハレの日。ひとつひとつの本番をこれからも大事にして、素晴らしい光景を作るスタッフ/演者の一人になれるように頑張ります。
ライブに携わったすべての人たちに感謝を込めて。
皆らぶ!だいすきだー!

黒船の皆さま本当にお疲れ様でした。

おしまい!長すぎた!

いいなと思ったら応援しよう!