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「学校検診で心電図異常を指摘されました。なにか心臓の異常があるのでしょうか?」

こんにちは!循環器担当の上嶋和史です!

今回のすくナビは“教えて!近大先生~循環器編”です。小児科の外来でよくいただくご質問にお答えするシリーズです。

今回のご質問です。

「学校検診で心電図異常を指摘されました。なにか心臓の異常があるのでしょうか?」

学校検診で心電図異常があると言われると、
“これまでこんなに元気で過ごしてきたのに、まさか自分の子が心臓の病気?!”  とご家族の方々は大変なご心配とご不安を抱えることでしょう。

早速ですが結論です。

「心電図異常=心臓の異常とはかぎりません。小児循環器専門医がいる病院を受診し、確定診断を受けましょう。」

その理由について3つにわけてお話します。

1. 病気であると断定されたわけではありません。

今の日本の学校検診では、小学校、中学校、高校の各1年生全員に心電図検査が義務付けられています。
検診の流れは地域によって多少異なりますが、1次検診で異常を指摘されると2次検診へまわり、そこで方針が決まる場合と、さらに専門医療機関での精密検査が必要とされる場合とがあります。
1次検診は、疾患を可能な限りもれなく発見する、心疾患のあることがすでにわかっている児童生徒には、心臓検診調査票や学校生活管理指導表などを通じて、適正に管理されているか確認することが目的です。そのため疑わしい心電図変化はすべて精密検査の対象となります。

心電図異常の原因は様々で、病気でないものもあります。
例えば
・心臓の傾きが少し皆と違うために心電図が通常と異なる
・高校生で普段から激しいスポーツをしていて脈拍が遅い
・川崎病にかかったことがあって定期的に病院に通院していると、後遺症がなくても二次検診の対象になる
などです。

もちろん、心臓の病気ということもあります。
代表的なものは
・心臓の壁に穴が開いている
・不整脈がある
・心臓の筋肉が分厚くなっている、薄くて収縮する力が弱いなど、筋肉に病気があるなどです。

検診の結果、精密検査が必要となる要精検者の割合は3.3%で、精密検査により要管理となる人の割合は0.99%です。つまり、心電図異常を指摘されても、3人に2人は管理不要となりますので、精密検査になったからといって必ずしも病気と断定されたわけではありません。

2. 小児科でも心臓専門の先生(小児循環器専門医)の診察をうけましょう。

子どもの心電図の正常は、成人と異なります。そのため、小児特有の正常値で診断する必要があります。その診断には、小児科医でも心臓を専門にして、心電図の判読に精通した先生の診察が必要です。意外に思われるかもしれませんが、1次検診で小児科医が心電図を診断している学校は25%くらいで、10%くらいの学校は内科医でさえないと報告されています。
では、精密検査で実際にはどんな検査を行うかというと、検診の結果内容にもよりますが、心電図検査(運動中に検査したり、24時間装着したりすることもあります)、心エコー検査、胸部レントゲン検査などです。
心電図検査ではどういった異常を指摘されたかの再確認と、不整脈の場合はその頻度や運動によって頻度が増えるかなどをチェックします。
心エコー検査では先天的な心臓の病気が隠れていないかを確認し、血液検査で一般的な検査に加え心臓に負担がかかっている場合に上がるホルモンが上がっていないかをチェックすることもあります。

3. 学校生活管理指導表を用いて、安心、安全な学校生活を送ることができます。

管理が必要な疾患と診断された場合、学校生活管理指導表が必要になります。指導表の内容は、主に運動強度のレベルを指示するもので、運動クラブ活動の可否も含まれます。お子さんの学校生活を安心、安全に送るために必要な書類になりますので、定期的に受診するようにしてください。

小児循環器専門医は全国で500人程度ですが、近大病院では4人の小児循環器専門医が外来をしています。複数の小児循環器専門医がいるため、幅広い知識と専門性をもって心電図異常に対応できます。もし、学校から専門医療機関受診の指示があれば、安心して当院を紹介受診してください。受診した日にわかる結果はその日のうちに担当医からご本人とご家族に丁寧に説明をしています。受診された当日の検査で管理不要となり、これまで通りの生活に戻っていただけることも珍しくありません。

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参考
1) 住友直方,石川広己,泉田直己,ほか:2016年版学校心臓検診のガイドライン.日本循環器学会 日本小児循環器学会
2) 日本学校保健会.平成 25 年度 学校生活における健康管理に関する調査 事業報告書.http://www.gakkohoken.jp/books/archives/159

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