療法士が身近な地域で貢献するために知っておきたいこと(第2回)地域リハビリテーション活動支援事業とは?
「地域包括ケアシステム」や「地域リハビリテーション活動支援事業」といった単語は,一般の病院等で臨床に従事する我々療法士も一度は耳にしたことがあると思います.ただ,日々多忙な業務の中で,このような政策が我々の仕事にどう影響があるのか,あるいは我々でもより貢献できる部分があるのかといった詳細までは把握しきれない方もいらっしゃるかと思います.本コラムでは,一般の病院等で勤務する療法士が,身近な地域で貢献するために知っておきたい基本的なことを全4回に渡り解説していきます.第2回は「地域リハビリテーション活動支援事業」についてです.
第2回 地域リハビリテーション活動支援事業とは?
1)地域共生社会の現状
平成28年に閣議決定されたニッポン一億総活躍プランの中に,第1回のコラムで紹介した地域共生社会が掲げられています.2021年度より施行される「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」では,地域共生社会の実現を図るため,地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する包括的な支援体制の構築の支援のほか,地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進,介護人材確保及び業務効率化の取組みの強化など,所要の措置を講ずることとされています1).その概要には,以下の5点が示されています2).
① 地域住民の複雑化・複合化した支援ニーズに対応する市町村の包括的な支援体制の構築の支援
② 地域の特性に応じた認知症施策や介護サービス提供体制の整備等の推進
③ 医療・介護のデータ基盤の整備の推進
④ 介護人材確保及び業務効率化の取組の強化
⑤ 社会福祉連携推進法人制度の創設
上記の多くにリハ専門職は関与可能と思われますが,本コラムではまず,②の介護サービスに関連する介護保険事業と,その中でのリハ専門職の関わりについて解説していきます.
2)地域支援事業と地域リハビリテーション活動支援事業について
各市町村では,2025年に向けて,3年ごとの介護保険事業計画の策定・実施を通じて,地域の自主性や主体性に基づき,地域の特性に応じた地域包括ケアシステムを構築しています.介護保険事業の中には,地域支援事業といわれる「介護予防・日常生活支援総合事業」,「一般介護予防事業」と「包括的支援事業」があります.2013年11月に掲示された新しい総合事業の中の介護予防機能を強化するために,リハ専門職等を活かした自立支援に資する事業として,一般介護予防事業の中に,「地域リハビリテーション活動支援事業」が打ち出されました3)(図1,2).
地域リハビリテーション活動支援事業とは,地域における介護予防機能を強化するために,通所,訪問,地域ケア会議,サービス担当者会議,住民運営の通いの場等へのリハ専門職等の関与を促進することを言います(図3).各市町村別の事業ではありますが,都道府県によっては県士会レベルで参画している地域もあるので,一度自身の地域でどのような事業が行われているか確認してみてください.厚生労働省からは,介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)の実施状況に関する調査結果4)も出されており,自身の地域での実施状況を知ることもできます.一般の病院等に勤務しながらでも,地域に出向く王道の手段になります.
引用
厚生労働省:「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律」の公布について・https://www.mhlw.go.jp/content/000640394.pdf
厚生労働省:地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律(令和2年法律第52号)の概要・ https://www.mhlw.go.jp/content/000640392.pdf
厚生労働省:リハビリ専門職の地域包括支援センターにおける介護予防・日常生活支援総合事業への関与に係る調査研究事業報告書・https://www.mhlw.go.jp/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/topics/dl/130705-2/1-42-1.pdf
厚生労働省:平成30年度 介護予防・日常生活支援総合事業(地域支援事業)の実施状況(平成30年度実施分)に関する調査結果・https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000141576_00006.html
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?