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8分の世界

みなさん、おはようございます。
kindle作家のTAKAYUKIでございます☆彡

通勤時間帯。それは僕の中でとても憂鬱な時間だ。玄関を施錠した僕は愛車に乗って出発した。時刻は8時10分。外は快晴でとても寒い。ホッカイロが欲しい。路地を時速30キロで進んで行く。

「嗚呼…今日も僕は誰かが既に通った道を進んでいる。二番煎じだ。残念。誠に残念。誰も通ったことのない道を進みたいもんだョ」

なんていつもセンチメンタルな気分になってしまう。

でもそのあと、僕は思うのだ。「そうだ、京都にいこう。会社にはいかずに京都へレッツラゴー!」なんて車内で叫ぶも、毎回意気地が無くて断念。別に有休を使って休めばいいじゃんって考えるも、やはり当日の朝に休む「ドタキャン」的な事はできかねる。子供の頃に植え付けられた道徳・倫理観が僕を苦しめるのであった。

住宅街を抜けて大通りに出た。信号待ち。左右の歩道には高校生が登校中だ。半分が鼻を真っ赤にして自転車を漕いでいる。あとの半分は歩きながら特に会話をするでもなく、ポケットに手を突っ込んで俯き、無表情のまま歩いている。

「君たち。君たちの未来は明るいんだョ。グリーンだョ。だからそんな表情で歩かないでおくれ。表情ひとつ、笑顔ひとつでピンチをチャンスに変えることすらできるんだョ。グリーンだョ」

ちなみに『グリーンだョ』は発泡酒のCMだったと記憶しております。

老婆心ながらそう言ってあげたい。彼らに気づきを与えたい。僕はここで信号待ちをする度にそう思っている。顔をあげて、口角をあげるだけでモノクロだった風景が色を帯びてくる。そうなれば面倒な登校時間帯が一転、輝きを増すのである。心が弾んで楽しくなってくるのだ。


「ぢゃあ、自分だって通勤時間帯にそう考えればいいじゃん。解決じゃん」
なんてメガホンを持った猫背野郎が絡んできました。面倒くせー。

「でもネ、登校と通勤は同じように見えて実は真逆なんだョ。分かるかい、猫背さんョ」

と言いながらも、僕はうまく言語化ができない。悔しいです。


兎に角、登校には未来がる。通勤には代償が伴うのである。

路地を曲がったところで、再度信号待ち。歩道に設置されているゴミ箱に、いつものお婆さんがいた。自分のゴミ袋を縛っている。それから指差呼称を行い、アスファルトにゴミが落ちていないかを確認する。歩道を占拠している状況だけど、お婆さんは全く気にしていない。まるで金を探しているようにさえ僕には見える。これもいつもの光景だ。

駅前を通過し、大通りから路地に入った。今朝もコインランドリーの駐車場に『88-88』ナンバーが停車していた。これはエンジェルナンバーを見たことにカウントして良いのかいつも迷う。仮にカウントして良いのであれば、僕は大金持ちになる前兆という事になる。やったね。うれぴー。


「嗚呼…着いちゃったョ………」


僕は指定された駐車場に愛車を停めた。出船駐車完了。

すると目の前から『烏賊柳課長』が歩いてきたので、僕は瞬時に目を逸らせた。そしてしばしの間、スマートフォンを見る。利用しているSNSサイトをチェックする。

8時20分になった。

「どれ~今日も働くか。行くぞ。えい、えい、オー!」

僕はエンジンを切ると、愛車からおりて施錠した。今日は木曜日。明日は華金だ。頑張ろうゼ。


以上、毎朝の通勤時間帯の風景、8分の世界でございました。


職住近接が一番だネ☆彡




【了】


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