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高校の無償化は「教育機会の平等」を実現するか?

令和7年度予算編成の年度内成立のための衆議院通過の期限が迫り、国会では、政府(自公)と維新間の高校教育無償化が議論のヤマ場を迎えているという。

文部科学省としては、三党間の協議を見守る立場である模様。

 さて、この私立高校無償化で政策であるが、すでに大阪府で導入した「日本維新の会の吉村洋文代表は無償化の意義について、次のように述べます。『生徒の方に選択肢があれば学校は切磋琢磨して、子どもの数が減っていく中でより良い教育とは何だろうと追及していくことにつながると思っています。子どもたちの選択肢の幅が広がるのは、教育の質の向上にもつながる』とされています。
 大阪府の場合、これにより大きなメリットを受ける私学側は、
「大阪私立中学校高等学校連合会によりますと、来年度入試の私立の専願者数は約2万人となり、正確な数値が残る2003年度以降、過去最高になりました。(大阪私立中学校高等学校連合会 草島葉子会長)『授業料の無償化で今まで諦めていた人たちが私立を受けられるようになった。公立を併願していた人たちも「私学1本でやりきろう」という気持ちになれた』」と私学先願化の流れを歓迎している。
 一方、公立高校にとっては、次の様な悪影響も出始めている。
「公立高校にも影響が。生徒からの人気が私立に流れてしまったことなどにより、今年度の入試で定員割れをした高校は70校にも上りました。」
 確かにいままでは、府教育委員会が管理運営する府立高校と、各学校法人が独自の経営方針の下運営されている私立高校とでは、本来同じ土俵でありませんでした。ところが、「高校授業料完全無償化」により、保護者の経済的な負担だけを比べれば、公立も私立も変わりありません。これまで、経済的な理由のため、府立高校を選択していた一定の層の中学生(とその保護者)が、私立高校も選択肢に加えることができたということは画期的だといえましょう。
 一方、府の教育委員会事務局の統一的な指導、監督下での学校改革と、それぞれの学校法人による判断とではスピードが違いすぎます。また、最終的な人事権や予算権が教育委員会の管轄下にある府立高校では打てる手が限られてしまいます。
引用:(下記参照)

 新自由主義の発送を教育にあてはめようとする発想は理解できます。ただし、競争原理が働くのは、同じ学び舎で、勉強やスポーツを互いに競い合い、自分自身の資質能力を高めようとする意欲と学習や部活に専念できる環境が整った生徒だけです。TOP校の生徒はおそらく大丈夫でしょう。そして、実際に日々切磋琢磨しています。
 このような他者と比較される競争原理、教室内での階層化、日常生活のリア充を求められるSNS。これらから逃れようと学校へ登校することすら避けようとする児童生徒がどれだけ増えていることか。
 このような環境の下、すべての公私立高校の生徒争奪戦を促すような政策を行えばどのような副作用が発生するかを、維新の面々は事前に想像できているのだろうか?

 そもそも大阪府の無償化制度は、私立高校と公立高校を一緒に競争させることに原点があり、国の無償化制度に上乗せするかたちで導入した10年、当時の橋下徹知事は、「生徒数の少ない学校は人気がないのだから、私学・公立を問わず退場してもらう」と述べていた。
問題は、橋下氏の知事時代の言葉通り、維新は公私問わず学校間の人気競争を迫り続けていること。学校の淘汰による教育費削減の意図はあからさまで、結局『なんぼの得があるのか』という、コスパ発想なのだ。」
「実は、国や府の無償化導入後、少子化や景気低迷による生徒減に苦しんだ私学の経営が一息つけたのは事実だ。手厚い教育を求める層から私学志向が強まり、大阪の公立高校の数は減り続けてきた。
 それは、12年に成立した「府立学校条例」で、3年連続で1人でも定員割れをした高校は「再編整備」の対象とされた影響もある。これまで17校が募集停止になったほか、大阪府の22年度の入学者、私立は10年度比で6%増え、公立は2割減った。公立の中でも進学実績の高いトップ校に人気が偏り、二番手以下の人気はぐっと下がる。公立高校空白地帯が広がりつつあるのは教員の怠慢ではなく、行政がそう誘導しているのだ。」
 「不人気校から廃止して公立の数を減らし、公務員としての教員の人件費や学校建設・維持費を大幅に削減する意図は明らかだ。
少子化が進み、生徒募集が困難になれば、もともと公立よりお金のかけられていない私立にも募集停止の波は及ぶ。公立の重点校には傾斜をかけ税金を投じる一方、私立の教育充実の追加経費は、「自力で寄付を募れ」である。こうして教育の総コストを縮減させようとしているのではないか。」

 各都道府県の最大の出費は教育費である。中でも、教員の給料が最も高い。小中学校、特別支援学校の義務教育諸学校は教員定数が法律で定められ、府独自の判断で減らすことはできない。そうすると、府立高校の定員、学校そのものを減らせば、大幅な支出削減ができるという構図である。

 さて、これらの歳費が削減される一方で、大阪万国博覧会が開催されようとしている。資材の高騰、人手不足、能登半島の災害復興等のため、開催費用は投書予算を大幅に上回る一方、前売り券の売り上げは低迷状態である。大阪万博で弾みをつけて、その先の「大阪カジノ構想」へ専念したいところだろう。しかし、このような税金の方で、将来の大阪都市圏はどのように変わるのだろうか?
 背筋が凍る様な不安を感じるのは私だけであろうか?

以下紹介いたします。
参考まで・・・。


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