教えるって、こういうことだと思う。『論文書けって言われても…若手医師のための医学英語論文の書き方』著:高草木 陽介
「論文書け」って言われたことありますか?私はありません。
入試の小論文ではありません。医学英語論文です。
私の人生では一生書くことはないと思っていますが、なんだか書けそうな気がしています。
田中弥三郎です。鍼灸マッサージ師です。「医学英語論文」と口にしたこともありませんでした。でも、書けるんじゃないかと思い始めています(笑)。
読書感想文を書いてみましょう。
タイトルに偽りなし。若手医師のための医学英語論文の書き方。
3つの手順で論文が書ける
3つの手順に沿って手順を進めれば、論文の形になっていくようです。
そもそも、論文とはなんなのかという定義付けから始まります。
あとは3つの手順で作業を進めます。
3つの手順についてはネタバレになるので控えておきます。
Kindle で読んでください📚
延々と説明が続くと集中力も途切れがちですが、そんなことはありません。全体に読みやすい文体で、ラクに読み進められます。
とくに印象深かったのは
「力の入れどころと抜きどころが分かる」ことです。
決してズルをするわけではありません。至極真っ当な取り組み方です。
違う言い方をするなら、
「巨人の肩に乗りなさい、こうすれば乗れますよ。」
と教えてくれているわけです。
そもそも論文というのは、先人から連綿と続いてきた研究成果の積み重ねです。先人たちの優れた論文に倣うことは、正攻法なのだと思いました。
それだけでなく、便利なツールや外注サービスも柔軟に利用することを提案されています。論文作成の心理的ハードルがぐっとさがりますね。
もちろんその際の注意点も添えてあります。
論文作成は、チームプレイだから
論文作成には、指導医や共著者とのコミュニケーションが必要です。
論文の目指す方向の確認や、進捗状況の共有をするためです。
とは言っても、多忙な先生方に一から十まで聞くのも気が引けて…
大丈夫です。そんな不安もちゃんとフォローしてあります。
どの段階で相談するのか、相談の際にはどんなところに注意すればいいのか、どれくらいの日数を考えておけばいいのか。
相談する際のマナーも弁えておきたいですね。
指導をする立場からのアドバイスは心強いものです
論文は書いて終わりじゃない。アクセプトの取り方まで。
本文以外にも、やることがある
論文は、書き上がって終わりではありません。投稿して、アクセプト(採択され掲載が約束されること)を得ることが必要です。
やっとのことで本文を仕上げたのに、こまごましたことなんて…
と言いたくなるところですが、大丈夫です。
投稿先の選び方・考え方が提案されています。
これ、めちゃくちゃ大事です。
苦労して書いた論文ですから、ちゃんと刺さる投稿先を選びたいですね。
投稿先が決まれば、それに合わせて表紙作成。
表紙の書き方には「型」があります。心配はいりません。
投稿の前には指導医や共著の先生に目を通してもらいますが、先述したようにその際の注意点がちゃんと書いてあります。
投稿〜査読を経て、アクセプトへの道案内
投稿して終わりではありません。査読とは言わば合否判定で、なかなかすんなり通るものではないようです。
そんなこと言われると縮み上がりそうですが、ここからが頑張りどころです。
入試と違って論文は一回限りの一か八かではありません。
修正すべきところを修正するなり、データを追加するなりしてアクセプトを目指します。
もちろん「これだけやればアクセプト間違いなし!!」みたいな話ではありません。ですが論文には書き方があります。
リビジョンに回答する方法が、ちゃんとあります。
残念ながらリジェクトになってしまっても心が折れてしまわないように。
ちゃんと打開策も提案されていますよ。
おわりに。「論文を書く」ということは
論文って、なんのためにあるのか説明できますか?
私には「研究のためでしょ。」としか答えられませんでした。
確かにそうですが、それではあまりにも浅薄だったと痛感しました。
論文を書くことは、知識や経験の共有になります。
論文を読んだ誰かの頭の中でイノベーションが起こるかもしれません。
困難を打開するヒントになるかも知れません。
新たな治療法が見つかるかも知れません。
そんなイノベーションが連鎖すれば、思いも寄らない未来がやってくるのかも知れません。
論文を書くことは、そんな可能性を確実に高めてくれるものなのだと嬉しくなりました。
鍼灸マッサージ師の私には、医学英語論文は未だ縁遠いものには違いありません。でも近い将来には翻訳ツールやAIによる要約などで身近になってくるでしょう。
縁遠く見えるものこそ、掛け合わせたら面白いことが起こりそうだと思いませんか?差し当たって医学英語論文を書く予定はありませんが、未来の楽しみが一つ増えたような気がするのです。
鍼灸マッサージ師ごときが「論文の書き方」を読んでも仕方がないとも思ってました。べつに論文書くわけじゃないし。
だけどこんな先生に教えてもらえたら、なんだかその気になっちゃいます。
「教える」って、手順を教えるだけじゃなくて
「手順の意味を理解させて、その気にさせる」ってことなのかも。
学ぶことは楽しいって再認識できたから、私にとっては大収穫です。
高草木先生、論旨は間違いないでしょうか?
変なカン違いしてたらスミマセン。
ご指摘お願いしますm(_ _)m
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