天へいったゆう
地ごくから帰ってきた優。またあちらへ出かけているご様子。
しょうづかのおばあのもとへ来ました。
「はい、六文」
「QRコードで」
「手数料がもったいない。ぜに寄こせ」
「かわいい童女の舟頭さんはいまへんの?」
「童子の方がええくせにだまっとれ」
「身投げしまひょか?」
船頭は速力を上げてすすめて参ります。
モーターボートでっか。
道草せずに真っ直ぐ冥土筋(めいどぅすじ)を歩いて参ります。右手には新歌舞伎座、左手には映画館。前にそびえるたっしまもとい、えんまかく。
せやけど、えらい狭なりましたなぁ? 歩行者はよろしいでっけど、荷車や人力車からしたらやりにくいですなぁ。
こうやこうやしている内に、えんま大王の前へ。
「南海もとい、何回来るんやお前は?」
「じごく道、人間道を経て3回目ですか?」
「では、天道。ただし、欲界おくりとする」
おばあはんに会えるとは思っておりまへんでした。元気なお姿をはい見することができました。
「ここは、前のみせやん」
「おじいはんが帰って来たからなぁ。戻してん」
すっくと起き上がり、みせへとでて来るおじいはん。
「あほ、やり直せ。入るところからもう一回や」
戦とうで焼かれた街。でも、せん湯から向こうは焼け残っておりました。
「ただいまぁ!!」
「おぅ、優。戦きょうはどないや?」
「はい、児童書・童話部門で今日の第八位です!」
「そっちやない」
「予せん通かとリーグ四位でしょう級でした」
「まだまだやな」
「もはやここまでですか・・・」
「やり直せ。どっちももっと上取ってから戻って来い!」
「天道のじゅ命は短いが、お前みたいに早いのはめずらしい。先ぞのすすめもあり、人間道でやり直しとする」
「優はん、また生きかえりはりましたなぁ」
「天道で転倒しまして」
「ほぅ」
「まっしゃかさまになってここへたどり着きました」
第3話