近藤史恵さんの「それでも旅に出るカフェ」を読みました。
まあ、何というかコロナ禍の日常に、そしてカフェで過ごす日常に、上手に各種非日常のエピソードをのせた読みやすい文章でした。
女性視点で、生きることや生活することの楽しさ、苦しさ、難しさがクローズアップされています。
とても自然にエピソード化されているものの、本来とても重い課題に、主人公なりの解決策を見つけて、淡々と生きていくさまが、文章に過度な重苦しさを与えずに済んでいるのだと思います。
女性視点ではあるものの、「人間として」共感できるところも多く、以前ドラマ化された近藤さんのいくつかの題材を思い出しました。
そのドラマは男性シェフが主人公でしたが、その時もひねりが効きすぎずいい塩梅の人間臭さがにじみ出る、とても好感が持てるストーリーでした。
原作が読みたくなって探したおぼえがありますが、そのシェフの作品と、このコージーミステリーと掲げられた作品の両者は、近藤さんの他の作品とは、文章のテイストが違う感じがします。
まあ、あまり外国の食べ物に興味はありませんが、登場人物が外国の食べ物に、ひいてはその食べ物が出来上がった背景を含めて、外国の文化に敬意を払う様子には、とても好感を覚えました。
それだけにあっさりしていても奥が深い作品だと感じるのです。
今回の文章美味しくいただきました。
ご馳走様でした。(^^♪
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