映画仮面ライダーファイズ感想
恐らくこのnote内では需要があまり無いと思いますが、今回の記事では僕の趣味の一つである、「特撮」についてのお話をします。
2月2日に仮面ライダーファイズの20周年記念の続編、
『仮面ライダー555(ファイズ) 20th パラダイス・リゲインド』が公開されまして、初日に見て参りましたので、感想をガッツリ書いていこうと思います。
記事の後半部分ではネタバレを書きますので、被弾したくない方は注意願います。
まずは仮面ライダーファイズとはどういった作品なのか、軽くまとめてみます。
平成仮面ライダーシリーズの第4作目に当たる作品で、主演は昭和の歌謡曲や建造物などの造詣が深く一時期タモリ倶楽部に常連で出演していた半田健人さん。レギュラーではないですが、ブレイク前の綾野剛さんも怪人役で出演していました。
歴代シリーズで初めて複数のライダーを登場させた第2作目仮面ライダーアギト、今度はその複数のライダー同士でバトルをさせた第3作目仮面ライダー龍騎、そしてファイズではライダーのみならず怪人サイドでも敵味方が入り乱れるストーリー展開。
怪人の名前はオルフェノクと言って、一度死んだ人間が怪人に変身する能力を持った上で蘇生し生まれる存在でいわば人間が進化した存在です。
オルフェノクは蘇生した初期こそ死亡前の人間の精神状態のままなので、その力に戸惑いますが、オルフェノクとしての本能や彼らを管理している大企業スマートブレインからの指示や洗脳もあり、やがて人間を襲うようになっていきます。
ですが中には、そういった事に流されず人に危害を加える事なく人間として生活を送ろうとする者もいます。
主人公の乾巧(いぬいたくみ)はそういったオルフェノク達に戸惑いながらも、人間の夢を守る為に戦って成長していく。こういったストーリー展開で、テーマとしては「差別」や「偏見」「夢」といったところでしょうか。
ただ、癖の強い登場人物やドロドロした人間関係が描かれ、ストーリー展開もシリアスで暗めだったので、当時の子供人気はさほど高く無かった印象です。ファンの年齢層は少し高めだと思う。
ファイズの魅力って僕個人的には主人公のキャラクターが大きいと思っていて。
まず序盤ではなかなかに素行が悪くて、ヒロインに向かって「うざいんだよ!」と暴言を吐いたり、バイクでスピード違反をして免停をくらったり、違反講習では居眠りしたり、ヒーローとしてこれでいいのかと心配になるレベルです。
かつ、ぶっきらぼうで口数も少なく、ヒロイン達からも「サイテー」と言われてしまう始末。
でも、猫舌でコーヒーをフーフーしながら飲む姿だったり、迷惑をかけた相手には素直に謝罪したり、根は優しくて憎めないって感じの青年。
そんな巧が戦いを通じて成長していく姿が魅力だと思うんですよね。
ただ、ファイズのキャラクターのギミックは、当時普及していた折りたたみ式の携帯電話ファイズフォンに変身コード「555」を入力してベルトに装着して変身するというメカニカルさが特徴。
装備もデジカメやレーザーポインター、ストップウォッチといったデジタルツールを模した物だったり、ファイズフォンも本体の向きを少し変えれば銃として使えるという物でした。
専用バイクのオートバジンはファイズがピンチの時に自動で二足歩行ロボットの戦闘モードに変形して助けてくれるという優れもの。
こういったハイテクなギミックが受けて、玩具の「DXファイズドライバー」は100万本以上売れる大ヒットとなりました。
「軽くまとめる」と書いたのに、この時点でもう1000文字超えました笑。
こんな仮面ライダーファイズですが、根強い多くのファンの後押しもあり、20周年記念として正統な続編が製作されました。
20年も前の作品で続編が作られるって凄いことですよね。
ただライダーファンとしては、2022年に「仮面ライダーオーズ」という作品の10年越しの続編が公開された事があって、これがまあなかなかに素敵な内容で(もちろん悪い意味です)、それ以来トラウマを植え付けられてしまった訳です。
なので、今回のファイズも非常に不安だったのです。めちゃめちゃハードル下がってました。
そんな期待と不安が入り混じった状態で映画を見た感想をまず一言で言うと・・・
「とってもよかった!」
です!
いや、ほんと良かったですよ。原作のままの部分と新しい部分のバランスが良くて、でも余計なことしてなくて紛れもない「仮面ライダーファイズ」でした。
では、ここから本編の内容に触れていきます。
ネタバレ嫌な方はここで画面を閉じてください、よろしくお願いします。
また、ここから先は仮面ライダーファイズをある程度知ってる前提で読んでいただければ幸いです。
と言うのも、今回の映画は新規ファンの獲得よりも今まで応援してきたファン向けの内容となっているので、これ以降の感想もそういう形を取ろうと思います。登場人物や用語の解説などはしません。
巧は最終回で明確な死亡する描写は無かったものの、草加は木場カイザに首をへし折られ、北崎はアークオルフェノクの獲物として食われ明らかに死んでいます。でも、今回の映画ではなぜか生きている。
しかし、テレビ版ではあれほどオルフェノクを敵視していた草加なのに、今作では庇護する活動に参加していたのに序盤から違和感がありました。好意を寄せている真理の為とはいえ、妙に素直すぎないだろうか?
しかも巧の事も妙に褒めていたし。
その答えがしっかり提示されていました。草加と北崎は政府からの刺客で本物ではなくアンドロイドであったと。
まあこのアンドロイドっていう設定自体がなかなか突拍子も無いのでアレでしたが、一応説明はされているので良かったかなと。
そして延命治療を受けていた巧と今作でオルフェノクになってしまった真理との関係の進展。この二人、テレビ版ではお互い信頼をしているものの恋愛関係とは少し違う感じでした。というか平成ライダーで主人公とヒロインの関係自体がそういうものなんだけれど。
恐らくお互い明確な異性としての意識はほんとに最近まで無かったんだと思うんですよね。特に巧なんかは自身がオルフェノクであるが故に他人と距離を取っていたような人ですし、無意識に恋愛感情自体が起きないようにしていたんじゃないかと。それが真理もオルフェノクになったことで一変した。
真理はオルフェノクを庇護する活動を取りながらも、いざ自分がオルフェノクになってしまったらそのショックや殺人衝動に耐えられずビルの屋上から飛び降り、自決する形をとってしまいました。オルフェノクなのでそれぐらいでは死なない訳ですが。
今まではオルフェノクの事をわかっている「つもり」だったのが、完全に自分がその立場になってしまった。
でもそれ故に巧の事を上っ面ではなく心の底から思いやれるようになり、巧も初めて心の底から自分をさらけ出せるようになった。そしてお互いオルフェノクの姿で・・・。
演じていた半田さんと芳賀さん曰く、本作の脚本に関してスタッフと一悶着あり少し変えたそうなんですがそれは恐らくこのシーンでしょうね。元々どういうシーンでどう変わったのか?真相はわかりませんが、恐らく巧と真理がそのままの姿だったのをオルフェノクの姿でって事に変えたのかなと。
テレビ版はもう20年前なので、当時10代だった2人も今やアラフォーです。当然色んな変化が生じているはず。この2人に恋愛描写は要らないという意見もあると思いますが僕は必要なシーンだったと思います。
そうして色々変化していたキャスト陣でしたが、変わらずでホッとしたのがやっぱろ海堂直也。今回も重くヘビーになりがちなファイズの作風をいい具合に明るくしてくれました。
ネクストファイズのアクセルフォームのスピードをラー油でスリップさせて阻止するなんて流石です笑。
そしてアクション面。
20年後、という事でガラケーではなくスマホに進化した仮面ライダーネクストファイズ。昔はそれぞれのツールにミッションメモリーをセットしたり色々ガチャガチャやって技を発動したりフォームチェンジしてたのを、スマホ内のアプリだけでスムーズにできるようなってました。
でも、このネクストファイズ。演出は最新の技術だしハイテクで強そうなんだけど、なぜかあんまり表だった活躍をしていない気がしてました。最終決戦の時なんかはカメラに背を向けて変身してたし、北崎が変身した仮面ライダーミューズが強すぎるとはいえ、仲間のオルフェノクと一緒に3人がかりで立ち向かっても全然ダメだったし。
そんな中、啓太郎の甥っ子である条太郎が駆けつけ「たっくん、つまらないものですがこれを!!」と変身が解けた巧に投げて渡したアタッシュケースの中に入っていたのは・・・、20年前に僕らが慣れ親しんだ旧式ファイズのドライバー一式!!
それを見た巧は「条太郎!お前わかってんじゃねーか!!俺はやっぱりこっちでいくぜ!!!」と慣れた手つきでファイズに変身。戦闘モードに変形したオートバジンも駆けつけ、スペックでは勝るはずのミューズとアンドロイド草加が変身したネクストカイザを撃破してしまいました。ここで流れる主題歌「Justiφ's」!
もうね、ここの戦闘シーンが最高なんですよ!
最新スペックのネクストファイズで勝てなかった相手を、旧式だけど手慣れてるファイズで形成逆転して倒しちゃうってのが、真打登場っていう感じで。
またこの機器的状況をファイズ1人でなんとかしちゃうのが、昔の劇場版だったり、テレビ版の17話の「戦う事が罪なら、俺が背負ってやる!!」からの戦闘シーンを彷彿とさせてくれる。
条太郎からのパスも、かつての啓太郎の「たっくん!」と呼んでからのベルトパスをしっかり受け継いでいてこれぞ僕らが見たかったファイズって感じ。
20年経ってからの続編ってファンが見たいものとスタッフ陣が作りたいもののギャップの差が難しくて、なかなか成功しにくいものじゃないかと思いますが、今回の映画そのバランスがとても良くてまさしく
「仮面ライダーファイズの続編」と言えそうです。
今後、他の作品の続編が作られる場合でもこれぐらいのレベルの作品が作り続けられる事を切に願います。
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