あまりにも眠い
一時間の昼寝明けにこの記事を書いている。
干した布団を取り込み、昨日の余り物(焼き鳥)と米粉パンで昼食を済ませ、読書をした後、パソコンを開いたところで睡魔が現れた。
奴はゆっくりではなく、
突然襲ってくる。
抗おうとしても、畳みかけるように眠気を喚起させる。
「これは無理だ」
と、携帯のタイマーを一時間後に設定し、部屋の電気を消した。
目覚めると幾らか頭痛、寝起きの倦怠感、パソコンを立ち上げると昼寝前に仮のタイトルとしていれた「あまりにも眠い」があった。それをそのまま採用し、書くに至る。
日曜日の午後の生産性が、あまりにもあんまりな状態である。映画を観に行くか、書店に行くかしていれば回避できるが、何せ今日は予定がまったくない。
朝7時前から本棚の掃除、自宅の庭の草枝刈り、トイレと自室の掃除と日曜日・朝のルーティンをこなし、布団を干しているあいだゲームや読書で時間を使う。11時過ぎに布団をとりこみ、バスで駅前へ向かう。無印良品でパンツを一枚、『九条の大罪』の13巻を買って、行けつけのスーパーマーケットに向かった。
とりあえずここ数日、食事に肉が多いので、海鮮のコーナ―で品定め。このまえの月曜日はマグロとつぶ貝だったので、生ダコに決定。一本税別89円の「午後の紅茶 おいしい無糖」を二本買う。冷蔵庫が安いという理由で買っている午後の紅茶ばかりだ。
帰りのバス車内。
帰ってからの予定を考える。
とりあえず昼食を済ます。洗濯を開始。読書。noteを書く。地元で完結する地味な日曜日、いいじゃいか。それで。
帰宅直後、手洗い、うがい、洗濯、残り物の焼き鳥をレンジでチン。パソコンを開いて検索履歴や不要ファイルの削除を行い、せっかくだからビールを用意する。昼間のビールは至高である。
甘辛い焼き鳥をオカズに米粉パンをパクパク、焼き鳥がなくなると、皿に溜まったタレと鳥の油にディップして完食。
アルコール回った頭で読書もそこそこに、洗濯物を干し、睡魔が襲ってきた、ということである。
干したての布団、食事、アルコール。これだけの条件が整い、基本的にベッドの上に作業しているとくれば、睡魔に負けて、午後の生産性がズタズタになるのは当然のこと。
ならば、ベッドから降りて座布団を使用。アルコールはたとえビール1本でも避けて、ひたすら読書とnote。
いや、結局はベッドに帰還する。
それでは、駅前のスターバックスへパソコンを持参し、カッコつけながら作業をすれば良いのではないか?
いや、面倒だ。その上、カフェで作業など迷惑行為に等しい。大して金も払わず席を長々と使うなど言語道断。自宅で気も金も使わず、集中していた方がよいだろう。
こんな日曜日を数え切れないほど繰り返してきた。
どれだけ時間を失ったのかと思うと鬱だが、「どうすればよかったのか」と反省はすれど、改善される兆しすらなく、根本的な改革が必要とされるが、現実的な策は見当たらない。
一方でのんびりとした休日は、それはそれで良いとの向きもある。しかしそれは、立派に、それなりの所得を得て充実した人生を送っている、普段多忙を極める人に当てはまることである。
「それなら、どうすればいいのか」
非常に非常なる堂々巡りを繰り返し、エッシャーのだまし絵の「階段」を無限に歩いているような状態。それでも月曜日、仕事が始まればそんな事は忘れ、そしてまた日曜日を迎える。
午後家にいる場合、また、睡魔に敗北する。
敵は自分の中にいる。
映画『敵』の主人公・渡辺儀助の敵は、自分自身だったのかもしれない。フランス近代演劇史を専門とした大学教授として、中々優雅な生活していたが、20年前に妻に先立たれ、10年前に引退し現在77歳。これといって生きる目的もなく、老残零落とした現状のなかで静かに、整然と生きている。
本当は妻とフランス旅行に行けばよかったし、実家の古民家を売り、楽なマンションで暮らしてもよかった。講演会も10万円という一線に拘らず、7万でも5万でも引き受けて、うまくやっていればよかった。なんなら、再婚してもよかった。再婚しなかったのは、妻との関係に後悔があった為、独り身でいることで自分を許そうとしていたのか。
老耄に追い立てられる中で、嘗て立場利用し教え子の鷹司靖子を個人レッスンの体で、デートに何度も付き合わせたことや、実は拙いフランス語で恥をかきたくない為に、妻とのフランス旅行を拒否していたこと、
その他もろもろの「後悔」が「現在」の自分に復讐している。
屹度、ありのままの自分を受け入れ、素直になれたらば、儀助は「敵」と対峙せずとも済んだのかもしれない。
自分に当てはめてみよう。
あまりにも眠い自分を受け入れ、昼寝以外の時間を充実させるように行動するしかないだろう。当然の結論に至る。
気づけば【18:33】になった。
テレビでは『ベスコングルメ冬の福岡SP』がやっている。
今日の夕餉は「生ダコ」であると思い出す。
空腹を意識する。
睡魔のことなどどうでもよくなる。
時間が全てを解決する。
あまりにも腹が減った‥‥‥。
たったそれだけの、日曜日の夜‥‥‥。