可及的速やかな休日
なんで日曜日の朝から忙しいのか。
すべては自宅の庭に起因する。
我が家は旗竿地になっているので、細い道(2mちょっと)があり、その先に雑木が茂る庭、二階建ての家屋がある。
ちょっとした自然がそこにある。これらを放っておくと、夏であればすぐに緑濃く茂りに茂る。故に刈る必要があり、寒くなってきた昨今、楽になってきたが1時間はかかる。その後トイレ、自室の掃除とつづく。
ゆっくりとした日曜日など、10年以上、記憶にない。
その上、
本日は選挙であり、
散髪でもあり、
丸善・津田沼店に来訪でもある。
そして、ある考えが頭を擡げる。
「散髪面倒くせぇ」
「先延ばししたい」
「10時ぐらいまでダラダラしたい」
「来週の月曜日は休みだから‥‥‥」
私が通っている店は月曜日が定休日である。
詰み。
今日行かなくてはならない。
そうと決まれば可及的速やかな行動が求められる。
小一時間で庭の草枝刈り、トイレ掃除、自室の拭き掃除をして、シャンプー、着替えを完了させる。
この時点で8時50分。
まず選挙。
玄関の鍵を閉め、早足で投票所である中学校へ向かう。薄手の長袖シャツだが、いくらか汗ばみ、サッカー部の練習風景を尻目にさっさと投票を終わらせる。
行った道を戻り、道路を渡り、バスに乗り込む。
駅に到着し早足で理容室。予想より先客は少なく、大して待たずに散髪を終える。
やってしまえばこんなもので、先延ばしにしようと考えた自分が馬鹿であると、毎回考える。髪を切る。そんな簡単なことに一瞬でも抵抗を覚える怠惰な精神性に辟易しながらも、綺麗サッパリして午前10時ごろ。
まだ日高屋は開いていない。かといって、30分も待つ気はない。
はい、松屋です。
おろしポン酢の牛丼。
予想通りの美味さを一瞬で堪能し、駅へ急ぐ。快速の電車が程なくしてやってきて、瞬く間に津田沼駅に到着。
南口から徒歩1分、目当てはトマス・ピンチョンなので海外文学のコーナーに白いカゴを下げて早足。
そして、
「逆光の上巻がないだと?」
下巻だけ先に買った人間が、上巻を買ったのか。もしくは下巻を買う余裕がなく、なくなく上下巻セットは諦めたのか。何にせよ、売れたなら補充してほしい。在庫がないのか。
ない。
いくら見ても無駄なので、既に所持している『重力の虹 上下巻』以外の作品を二冊カゴにいれる(内容は明日)。
あとは文庫を三冊買おうと、気になった作品をメモしたリングノートとにらめっこしながら、あっちこっちに足を向けては、カゴにいれる。
一旦、戻したりまた入れたり、ひとつひとつ選書していく。
結局、1時間が過ぎて、会計。予算より少なく済み、速やかに津田沼駅に戻り、マッハで自宅を目指す。駅に到着すると、夕食に必要な物品は予め決めているので、必要最低限の時間で買い物を済ます。
そして自宅。
すべては可及的速やかに終了した。
帰宅後は、
ゲームをして、
読書をして、
ネットサーフィンをして、
夜を迎える。休日が終盤に突入する。
18時を超えると、月曜日が忍び寄ってくる。
奴は莞爾と笑い、
「また仕事ですよ」
と、語りかけてくる。
「そうですか、分かってますよ」
と、返答し、
「精々、就寝するまで休日を噛みしめることだな」
寝て目覚めれば、そこは平日、仕事の日々である。
可及的速やかに確実にこなしていきたいものだ。以外と早く仕事時間は過ぎていくので、優先順位を考えつつ、丁寧に手早く‥‥‥。
それはそうと、
本日の夕食は昨日の酒のアテの残りである、焼き餃子である。多めに買っているので、相当、余っているので余裕がある。
入浴し、飯を食い、ネットサーフィン、ゲーム、読書でフィニッシュ。
来週は、新宿バルト9で『十一人の賊軍』『ヴェノム ザ・ラストダンス』の二本立て鑑賞の予定。
よくよく考えれば、
私はいつも「可及的速やかな休日」を過ごしている。
金持ちになって家を建て替え、庭にコンクリートで覆いつくしたい。
草木、土なんていらねぇ。面倒なだけだ。どうしても欲しければプランター、鉢植え程度で十分である。
そんな夢想を巡らしながら、夜に沈む。
出来るだけ優雅に、穏やかに、休日の浅瀬で体育座り。
「月が綺麗だ」と書こうとして、外へ確認しに出てみたが見えなかった。
私の休日の浅瀬には、灰色の空が覆うのみ。
さて、シャワーでも浴びてくるか‥‥‥。