田町、ジーンズリペア、東京。
冬の乾いた清廉な朝。
今日は休日。
仕方なく薄ら寒さに堪えながら掃除をする。やるべきことは先にやる質で、さっさと終わらせ、とっとと着替えて休日出勤に出かける。と言っても、簡単な点検と軽作業を小一時間なので、あっという間に駅のホーム。
本日の主な目的は、「ジーンズ二本の修理依頼」である。
千葉県市川市本八幡にある「Gパンセンターサカイ」で5年前に購入したもので、主に通勤用、黒のブッシュパンツは庭の作業用で使用している。丈夫な品物とはいえ、ここ数カ月で股の部分に穴が開き、徐々に広がっていった。両足を閉じればあまり目立たない程度だが、確かな通気性を感じるので、やはり、誤魔化しは利かない。
「よし、修理してもらおう」
そして山手線・田町駅最寄りの、
『ジーンズリペア工房 JEANS704』を発見し「いざ行こう」です。
総武線から山手線に乗り換え、田町駅で途中下車。時刻は午前11時15分。
店舗の受付は13時から。
金は使いたくない。ランチは地元の駅前の松屋で済ませた。
どうしたものか。
「よし、ネタ収集がてら田町駅周辺を散策だ」
て、ことでテクテク歩く。
「すげぇなぁ、東京は、どこで降りてもでっかいビルばっかりだぁ」
とりあえず『ジーンズリペア工房 JEANS704』の場所を確認する。徒歩5分程度で地下一階への入口を確認する。さてとテクテク。
すると、「芝四丁目公衆便所」を発見する。公園でもないのに、ふと現れる。都営三田線三田駅のA9出口の近く。
「随分便利だなぁ」とフラフラ歩いていると、公衆電話の隣りにバス停でもないのに、屋根付きのベンチがあった。
助かったと座り、今日のnoteのタイトルを考え、ゆっくりしようと思ったが落ち着かずすっくと立ち上る。そして路地に入っていくと、アホほど大都会であるにもかかわらず、築年古めの昔ながらの戸建てがひっそりと建っている。オフィスビルが立ち並ぶ場所でも、こんな建物あるもんだ感心し、国道15号線にでる。
歩道に目線を落とすと、カナダみたいな葉っぱが落ちていた。おそらくサトウカエデの葉で、子どもの自分なら持ち帰りそうな立派なやつ。地元では見かけないので、何か、テンションが上がるものがある。これが子供心か。
さて、まだ時間がある。
横断歩道を渡って、線路方面に行くと『田町薩摩藩上屋敷邸』の石碑が視界に入る。屋敷は慶応三年(1867)の焼討事件でほぼ全焼し、跡地は、「薩摩ッ原」と呼ばれるようになったという。
ふと、歴史の一片が現れ感心し、御穂鹿嶋神社のある、細長い本芝公園に立ち寄る。立派な鳩が大量にいて、私に寄ってくる。人が餌をくれることを知っているのだろう。
当然、無視するほかなくベンチに座るとある看板が目に入る。
人情話「芝浜の皮財布」とある。
古典落語の「芝浜」の原作で、1922年(大正11年)初演の歌舞伎世話物狂言。1903年(明治36年)には歌舞伎に先駆けて新派でも舞台化され、曾我廼家劇でも演じられる等、幅広いジャンルで演じられている演目である。
ここにも、歴史が出現する。
東京の奥深さを知る。
そしてまだ、時間がある。
田町駅の東口に行ってみる。
『msb tamachi』というショッピングモールに入る。洒落た飲食店が多くはいっていて、ベンチが所々にあり、また助かる。
それにしても田町駅周辺はベンチが多い。それとも、港区は区をあげてベンチを設置しているのか。何にせよ助かる。
そうこうしてるうちに、午後1時が近づいてきた。
再び国道15号線を渡り、都営アパート前の公園にやってきた。
『ジーンズリペア工房 JEANS704』に事前連絡を入れ、いざ訪問。
店舗はビルの地下一階にあり、まるで穴倉、秘密基地の様相を呈する。
ドアを開けると、髭の、いかにも職人の店主に出迎えられる。
ジーンズを二本見せて、修理する範囲を相談し、説明を受け、料金を払い預かり票兼レシートを受け取り、あっという間に退店。
受け取りは三週間後の28日。
意外に早いと足取りも軽く、田町駅、山手線に乗り込み東京駅へ。
あっさりと修理依頼は終わり、完全に選書モードに突入。
しかし、山手線で降りたのは初めて。八重洲北口、丸の内北口、違うな違う。地下へ降りる。ああ、そうそう、総武快速の近くだ。
丸ノ内”地下”北口とな。
どんだけ北口あるのか。
新宿ほどでないにせよ、ダンジョンもいいところ。
東京の東京たる所以を味わいながら、丸の内オアゾ内の『丸善・丸の内本店』に来店。
そして、
あれでもねー、これでもねー、よっしゃよしよし、コレとコレ、三階の文庫コーナ―、とりあえずハヤカワ文庫と創元推理文庫は要チェック、よし、これでいい、会計。
さっと、
ぱっと、
もう帰る。
雲はあるが青空。雨は降りそうもない。あとはnoteの記事を完成させるだけです。
今日感じたことは、
「とりあえず行け。やってみれば分かる」
です。
初めてのジーンズの修理依頼だったので、面倒で、止めようか、あの二本は諦めて安い古着のデニムでも何本か買って、それで間に合わせようかと考えた。
だが、もう5年も履いているジーンズを、ここでうっちゃるのは忍びない。勇気をだし、きっちり事前連絡を入れて依頼して良かった。
こんな簡単なことでナーバスになるナイーヴさに辟易。
それも自分と諦めて、今日は酒盛りの日なのでアルコールに浸ろう。
それにしても、そろそろ本当に寒くなってきた。
鍋、食べちゃおうかな。明日辺り、白菜と豚肉をポン酢で。