「みぃ物語」#07(動物病院での新生活 #02)
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入院室でもピンクの服を着た人が何かをしていた。しばらくすると、その人は入院室から出てきて私たちのいる診察室に入ってきた。そして、私のケージをのぞき込んで、
「もうちょっと待っててね。今、先生に健康診断してもらうからね。その後でお部屋に連れて行ってあげるから。」
そう言い終わるか終わらないかのタイミングで、コンコン、と処置室につながるドアからノックの音がした。
「お待たせ」
と言って、水色の白衣を着た男の人が入って来た。
「あっ、里塚先生、よろしくお願いします。この子たちが院長先生が言っていた、親戚のお家で飼えなくなった子達です。次の飼い主さんが見つかるまで病院で預かるんですって。キジトラの女の子がみぃちゃんで、グレーの男の子がケンタくん、親子なんですって。」
「へえ、親子なんですか。全然毛色が違いますね。」
その男の人がケージをのぞき込んできて、そう言ったの。確かに私たち、似てないわよね。
「手術は済んでいて、その時の血検で、FIVとFeLVは陰性だったそうです。」
と、女の人が手に持った何かを見ながら伝えていた。
そう、水色の服を着た人は獣医さんで、ピンク色の服を着た人は動物看護師さん(2023年からは国家試験が実施されて、正式には「愛玩(あいがん)動物看護師」という国家資格になった)だった。
獣医さんと看護師さんはそんな話をしながら、ケンタのケージだけを床に移動させた。
・・・ここでミィちゃんの豆知識解説ね・・・
・動物病院では、話の流れでは手術が済んでいるって言えば「不妊手術」って言わなくてもたいている通じるみたい。
・血検(けつけん)は、血液検査のことね。
・FIV(エフ・アイ・ブイ)は、ウイルスの病気で「猫免疫不全ウイルス感染症」っていうの。「猫エイズ」って呼ばれることもあるわ。
取っ組み合いの喧嘩をしたりするとうつってしまうの。
お母さん猫がFIVにかかっていると、生まれた子供たちにもうつっている可能性があるの。だから、外で生活している野良猫さん達は、かなりの確率でFIVにかかっているんだって。
私のお母さんも野良さんだったから、私もかかってたかも知れないの。私とケンタは不妊手術をした時に検査をして、幸運にもかかってないことが分かって良かったわ。
FIVにかかっても、必ず病気になって症状が出るわけではないらしいの。ストレスのない生活をしていると、一生病気にならないで過ごす子もいるそうよ。でも、外で暮らしている猫さん達は、お家で過ごしている私たちよりずっとストレスのある生活をしているから寿命も短いんだって。
なんだか、こんな話を聞くと少し複雑な気分になるわ・・・。
・FeLV(エフ・イー・エル・ブイ)は、「猫白血病ウイルス感染症」っていうの。
この病気も、すぐに病気になって症状が出ることはあまりないそうよ。
症状が出ることを発症というんだけど、発症すると白血病になったり、免疫の力が低下したりして寿命が短くなるんだって。
※・・・だから最近は、外の猫さん達と喧嘩をしていろんな病気をもらってこないように、私たちを外に出さずにお家の中だけで過ごす事が推奨されているんだって・・・※
・・・みぃちゃんの豆知識解説でした・・・
つづく