「みぃ物語」#01(プロローグ #01)
時は2003年3月
小さなケージに入れられて、もう長い間車に揺られている。
前にも同じことがあった。
またその時のように手の汗が止まらなくなってきた・・・。
あれは子供が生まれて、バタバタの子育てが一段落した頃。子供たちが少しずつ新しいお家にもらわれていき、息子のケンタだけが残った。なんだか寂しいなぁ、って思ってた頃。
まずトラさん(あっ、私の夫ね)がケージに入れられて連れて行かれた。
トラさんはいつものんびりしていたから、ケージに入れられてもあまり緊張していなさそうだった。
それからどれくらい経ったか分からないけど、その日のうちにトラさんは帰ってきた。トラさんからは、何だかいつもと違う変なにおいがした。クンクンとトラさんの体のにおいをかいでみたら、どうしてか分からないけど、少し嫌な感じがした。私はしばらくトラさんに近寄らないことにした。
その時のトラさんは、なんだか眠そうだった。
あとで聞いたら、去勢手術っていうのをしてきたらしい。おうちのお姉さんが言ってた。ケンタ達が生まれたので、これ以上子供が生まれないようにするんだって。よく分からなかったけど、そのうち私やケンタもするんだって言ってた。
つづく