「動物のお医者さん」09(獣医学部生ならではのアルバイト)
大学時代にこのマンガに出会い、マンガの連載中に獣医学部の学生だったこともあり、親近感を感じていました。
当時の獣医学部の大学生活についても織り交ぜながら、「動物のお医者さん」の思い出を振り返ってみたいと思います。
前回はこちら
運が良ければ、獣医学部生は一般の学生では経験できないようなアルバイトを経験することができます。
ハムテル達も、
最初は実習なのかな?
アザラシの世話なんかもしますよ。
里塚もとても貴重な経験をしたことがあります。
* * *
ある日、同級生で馬術部の女友達から、
「一平君、今度の日曜日ヒマ?」
おおっ、デートの誘い!?
・・・まあ、そんなことはないですね。
「札幌競馬場のバイトが入ってたんだけど、行けなくなってしまったので、代わりに行ってくれない?」
との事でした。
次の日曜日は、地方競馬・札幌開催の真っ最中。
警備員の仕事ではなく、競馬場内で馬の近くで働くアルバイトです。
馬に直接触れはしないのですが、すぐ近くで働くので馬に慣れている馬術部が代々アルバイトを引き受けているらしいのです。
馬術部は馬の維持費などでお金もかかるので、一石二鳥ですしね。
馬術部の学生は既に総動員されていて、どうしても代わりが見つからなかったそう。
獣医学部の学生はずぶの素人よりも馬に慣れているから、という理由で声をかけてくれました。
そんな貴重な経験ができるなんて!
即答でオッケー👍
アルバイト当日
当時はチャリチャリチャリーと、自転車でどこへでも行っていた里塚。
もちろん札幌競馬場まで自転車通勤。
競馬場の職員専用入口で、門番さんにアルバイトに来た旨を伝えると中に入れてもらえました。
アルバイト要員は一旦建物内の部屋に集合。
集合場所までは、これから出走する馬が待機している厩舎の横を通って行きます。
厩舎の横を通る時に妙に緊張する里塚。
大きな音をたてて馬を興奮させると大変です。
なんていったって、競走馬は目が飛び出すほど高価ですからね。
必要以上にそーっと通り抜けたのを覚えています。
部屋に集められたバイト要因は20人位いたでしょうか。
係の方からそれぞれの役割を振り分けられ、説明を受けます。
説明が終わると、競馬場内の仕事場へはマイクロバスで移動。
待機していた部屋からマイクロバスに移動する時、騎手の方たちも移動されていました。
10メートルほど先を集団で移動中でした。
その後ろ姿を見て、すごく小柄で細い方が多かったので、
「女性の騎手の方もいらっしゃるんですね。」
って、思わず言ってしまいました。
「えっ?、何を言ってるの?」
「今日の騎手は全員男性だよ。」
と、係の方。
「えっ、そうなんですか?」
「小柄な方が多いので、女性の方かと思いました。」
「競馬は体重制限があるので、騎手の方は皆さん体重管理されているからね。」
「武 さんはそこそこ身長もあるけど、そんなに背が高くない騎手が多いからね。」
と説明してくださいました。
話では聞いていましたが、実際見ると本当に細くてびっくりしました。
身長170センチの 武 豊 騎手がひと際背が高い印象だったように記憶しています。
当時は 武 騎手が勝ちまくっていた時期。
なんと、その日も 武 騎手は3つのレースで1着でした。
里塚が任された仕事は、競走馬がゲートインする時に最後尾でロープを持って、徐々にゲートまで馬を誘導する役目。
言葉では分かりづらいですよね。
実際にレース直前の様子を YouTube で見つけましたので下に張り付ました。
競馬のレースは、競走馬たちがスタートゲートに収まってからスタートします。
ゲートに入る前、出走する馬がゲートの後ろに集まってきます。
馬たちはすぐにはゲートには入らず、暫くゲートの後ろをグルグル回ってからゲートインしていきます。
その際、馬が後ろに行きすぎないように、コースの端から端までを人間がロープを持って塞ぐのです。
YouTube の映像では動画開始後20秒から23秒の所で、馬がこれ以上後ろに行かないようにロープを持った人が出てきます。
このロープを持つ係が里塚の仕事でした。
この動画にあるように、ロープとゲートの間を馬が円運動するので、手を伸ばせば馬に触れられるくらいの至近距離で競走馬を見ることができるんですよ!
里塚はロープの真ん中あたりを持ってコースの中央付近に立っていたので、すっごい近くで馬や騎手を見ることができました。
近くで見ると競走馬の筋肉の何と美しい事。
これぞ『筋肉美』という感じでした。
それに加えて、毛艶もツヤツヤで本当に美しかったです。
もう、感動しまくりです。
その日は確か13レース行われたので、13回も貴重な経験ができました。
もちろん、騎乗した 武 豊 騎手も間近で見ましたよ!
馬のゲートインが完了するとロープ要員は再びコースの内側に戻ります。
すると、すぐにレースが始まります。
遠くに退散する時間なんてありません。
馬たちがスタートすると、ゲートもにコースの内側に速やかに引き込まれ、コースの内側に置かれます。
数十秒したら馬たちはコースを1周して帰ってきますし、その場から移動する時間はありません。
馬たちが走るコースのすぐ内側で身をかがめているのです!
するとあっという間に、1周してきた馬が戻ってきます。
そうです!
目の前を駆け抜けていくのです!
ドドドドド・・・、とすごい足音と共に全速力の馬たちが目の前を!
ものすごい迫力で、『圧巻』の一言です。
これ以上ない特等席での競馬観戦だと思いませんか?
スタート前に悠々と歩いている馬も芸術品かと思う程綺麗でしたが、目の前を走り抜けていく馬達の何と素晴らしい事!
大変貴重な経験をさせていただいて、感動しきりの里塚でした!
おわり