子育てのコツは、家族がチームになること
「子育てのコツってなんですか?」
つい先日、初対面の方に不意に聞かれたこの質問に
うまく答えられなかった。
これまで教育関係の仕事をしてきたという話をしたときのことだった。
(良いことを言わなきゃ)
反射的にそう思ってしまった私は
言葉を失ってしまい、その場を笑って誤魔化してしまった。
「相手によく思われたい」
そういう気持ちが出てくるときは、自分の中に深く潜れない。
(子育てのコツって、一言で言うとなんなんだろう……)
その質問は、その日から私の中に残っていた。
そんなとき、長男が11歳の誕生日を迎えた。
「母親」というものになって、もう11年かと思う。
色んな思い出、気持ちが走馬灯のように駆け巡った。
11歳になった息子は、自分が日頃から仲良くしている友達に自分で声をかけて、誕生日お泊まり会を企画していた。
友達の親御さんにも自分で日程を連絡し、交渉する息子。
「あれ、自分のお誕生日会なのに、自分で企画してるの?」
友達のお母さんに息子がツッコまれているのを聞いて、苦笑いの私。笑
確かに。本来は私が企画すべきだったのか……。笑
自分のやりたいように
二日間の段取りを考えて企画し、テキパキと実行していく息子は逞しい。
当日は、7人のお友達に囲まれてとっても賑やかな夜だった。
母親になってからの11年間を振り返ると、
決して楽な道ではなかったなと思う。
出産も育児もナメていた私に
「子育てはそんな甘いもんじゃねーぞ!!!」
と全力で伝えてくれたのが彼だと思う。
繊細でこだわりの強い彼は、ことごとく私の「あたりまえ」を壊してくれた。
「あんまり小さいことに拘らないでほしい」
「計画は変わるということを受け入れてほしい」
子どもが生まれる前は、みんなが私のこんな我儘を受け入れてくれたんだな。真っ向から「いやだ!!!」とぶつかってくる息子を見ながら、これまでの自分の甘さを感じざるを得なかった。
「なんで?どうして????」
2歳くらいから息子は何でもかんでも聞きたがった。
少しでも納得いかないことがあると次に進めない性格だった。
何とか言葉で説明しても、2歳の頭ではどうしても理解が追いつかないことも多々あった。
その度に、どうやったら息子が理解してくれるのか、納得してくれるのか。
2歳がわかるように何度も何度も説明してきた。
夫に言われたことがある。
「よくそんなに付き合えるな〜。ダメなものはダメ!で終わらせることもできるのに。すごいな〜」
そう言われて初めて、自分が小さな息子と日々一生懸命に向き合っているんだということを自覚できた。
その根っこには何があるのか。
それは、「子どもだから」と息子を子ども扱いをしないということだった。
たとえ私のお腹から出てきた子どもであっても
この子とは、ひとりの人間、ひとりの人格を持つことして対等に関わるんだとどこかで腹を括っていた。
だから、母親である自分も「お母さんだから」とか「親だから」「大人だから」と言う括りで捉えることはほとんどなかったと思う。
「私はこういう性格でこんなところが苦手だから、お手伝いしてね」
そんなことを直接言葉で伝えたことはなかったけれど、
息子たちは私が苦手なこともわかって、自分ができることで私を助けてくれてくれているんだと思う。
「家族はチームだ」
この言葉が最近はとてもしっくりくる。
この時代、ご縁があってこの家族となり、生活を共にしている4人がここに生きている。
年齢も性別も性格も得意不得意もさまざま。
だからこそ、お互い補い合えるし、助け合える。
そんな一つの小さなチームが、家族なんだ。
「子育てのコツって何ですか?」
最初の質問に、私はこう答える。
「家族が一つのチームになることです」
人間は皆、凸凹だ。
だからこそ、手と手を繋げば、助け合えるし、みんなで何かができるようになる。そんなあたりまえのことをあたりまえに学べる場所が家族なんだ。
11歳になった息子は相変わらずこだわりも強いし、繊細だし。
今朝も「お気に入りの帽子がない」と半べそかいて、私と40分以上押し問答をしながら、やっと赤白帽子で登校したけれど。笑
「なんで?どうして???」
と何でも知りたがる息子は、最近は私が勉強している認識技術nTechにも興味津々で
「なぜ人間が生まれてきたのか?」
「人間がどこから来てどこに向かうのか」
ということを真剣に考え始めている。わからないけど、なんか考えるのがおもしろいと彼はいう。
そんな息子とのやりとりが楽しい今日この頃。
18歳の成人になるまで、あと7年。
彼と一緒にこの家に住むのはあとどのくらいだろう。
それまで小さなことも
一つひとつ話し合いながら
お互いに気づき合いながら
お互いの人生を楽しくつくっていけたら良いね。
「歩人」という名前は、
「まわりの人を大切にしながら、自分の人生を自分のペースで歩んでいってほしい」
という願いを込めてつけた。
共に歩んでいこう。
共に楽しんでいこう。
これからもよろしくね、歩人!