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自分の書いた短編小説を反省する(キャラ&ストーリー編)

 まずはお詫びと訂正から。
 私がこれまで「短編」あるいは「超短編」だと思ってUPしてきた創作小説は、そもそも短編ですらなく「掌編」と呼ばれるものでした。大変失礼しました。基準を一度まとめてみます(諸説あり)。

・掌編=短編よりも短い(≒ショートショート?)
・短編=原稿用紙10~80枚(4000~32000字)程度
・中編=原稿用紙100~300枚(4万~12万字)程度
・長編=原稿用紙250枚(10万字)以上

(諸説ありすぎるのでWikipediaを参考)

 32001~39999字を何と言うのかは知らないし、10万~12万字が中編か長編かも不明瞭ですがそれはさておき、この基準によると私は黒歴史時代を除けば今回初めて「短編」を書いたことになる。

 企画参加作品である(企画については下記を参照下さい)。書き出しがお題として決められていることで相当悩まされた。ただ、個人的には100%自由に書くと逆に上手くいかないことが多いので、悩んで執筆したのは貴重な経験だったと思う。

 自分の書いた作品について、どこかでじっくり反省・添削する必要はあると思っていたが、初の短編となる今回がベストかなということで、2回に分けて反省していく。

 問題点は大きく分けて「キャラクターの問題」「ストーリー、構成の問題」「日本語や文章表現の問題(添削)」になると思う。今回は「キャラクター」と「ストーリー」について反省してみる。


1.キャラクターの反省

1-1.僕=滝口(主人公)

 合唱を嫌い→好きになる、担任教師も嫌い→好きになっている(途中から呼び捨てではなく「先生」を付けている)、そして沢井さんに対する想いなど、心情の変化は書けたと思うが、人見知り・ピアノ経験者以外の素性がイマイチ見えてこないのは主人公なのに大きな失敗である。
 とりあえず脳内にあった設定をここで補足する(今回はあえて本編の修正・加筆などは一切しないことにしました)。

・ピアノ教室で「譜面から作曲者の意図を汲み取る力」などの音楽的知識を学び、教室主催のオーケストラコンサートに出演経験もあり、そこでプロの指揮者の動きを間近で見たから指揮のノウハウも持っている。タキシードはそのコンサート出演時に着用した私物。

・沢井さんのピアノ技術に嫉妬している(後述)。

・台詞が「ですます調」なのは人見知りだからなのと、タメ口の沢井さんとの差別化の為(誰の台詞かを明白にする為に良く使う手法)。何なら「ですます調」を先に決めて、そこからキャラ作りをしている。

・目標に書くほどけん玉、ヨーヨー、リフティングを上達させたい理由→実は思いつかなかった(理由はどうあれクラスをまとめる為に結果的に必要だった形に落ち着かせる)

『当方128の脳内』より引用

1-2.沢井さん(ヒロイン)

 ウジウジした滝口とは対照的に天真爛漫な性格。それは表現できていたと思うが、その心中の「本当は歌いたい」や「滝口への想いの変化」はあまり深掘り出来ていなかったような。こちらも補足する。

歌うことは幼少期から好きで独学で上達、というか持ち味は技術よりも透き通るような歌声(声優の東山奈央さんをイメージ)。ピアノ経験は数年程度(10年ほど弾いてきた滝口は、たった数年しかも独学で天才レベルに達した音色を聴いて嫉妬している)。

・白いドレスは持っていなかったが、着て弾きたいという憧れからレンタルしていた(これはどうでもいいか)。

・腕を掴まれて「きゃっ」の時、実はドキドキしており、ここで滝口への想いに初めて気付く。ラストの「好きになったかもしれません」「えっ?」では勘違いしている。

『当方128の脳内』より引用

1-3.松本先生

 大失敗の一因。根拠のないスパルタの末、途中退場、まさかの再登場無し。合唱コンクールで優勝したいという独り善がりの熱意しか伝わってこない。冒頭の暴行に正当な理由付けが出来ず、プラスに転換できていないのも大きい。
 ちなみに本番はちゃんと観に来てくれている。数年後に滝口や沢井さんと再会とかさせたかったね。

1-4.小池という謎の存在

 メインキャラ以外で唯一名前があり、しかも3回も登場している「小池」という男子生徒。彼は完全に舞台装置と化してしまった。小池君本当にごめんなさい。
 松本先生を異動に追い込んだ張本人で、その後の練習で歌わない男子の一人として女子に反抗、それでも本番では先生に感謝するくらいには心変わりしている。この3つの点を上手く線で繋げば小池も滝口や沢井さんと絡むメインキャラとして活かせたような気がする。


2.ストーリーの反省

2-1.滝口のピアノ経験者設定を活かせていない

 2人が指揮者と伴奏者に任命されたことで、滝口と沢井さんは初めて会話を交わす。これと「指揮のノウハウを身に付ける」だけの為に滝口をわざわざ「ピアノ経験者」にしているわけである。この設定と「けん玉、ヨーヨー、リフティングを上達させたい気持ち」が全く噛み合わないから違和感が残る。ピアノ経験の設定を活かすには「一発芸披露」の部分を滝口の高度なピアノ演奏とかにするのが最適解な気がする。そうなるとお題(けん玉+ヨーヨー+リフティング)の伏線回収をどこに持ってくるかなわけだが、現時点では思いつかない。

2-2.松本先生の物語が未完成

 キャラクターの反省とも被るが、松本先生の話は途中で終わっている。熱血教師はスパルタ指導により生徒の歌唱力と合唱力を上達させたが、突然の異動辞令により生徒と距離を置かざるを得なくなる。実話ならまだしも創作としてこれで終了できるわけが無い。ちなみに途中退場させるにしても、せめて前日に『お前らのことが大好きだ』みたいな退場フラグを立てることは出来たはずである。

「合唱コンクールを観に来ている」「ありがとうの5文字が届く」は予想でしか無いのだが、それが確定だったとしても(脳内設定では確定している)それに対する先生のアンサーも書くべきだった気がする(前述の数年後に再会とか)。

2-3.ラストの気になる2点

 まず、最下位は流石にやりすぎ。途中で「優勝も現実味を帯びてきた」と書いているのでそのまま優勝にするつもりはなかったが、オチの為にルール違反、失格にしてしまった時点で私はキャラへの愛着が足りなかったことを露呈させてしまった。あまりにも意地悪すぎる。本当に愛着があるならせめて準優勝か3位あたりにすべきだった。
 確かに私自身、完全なハッピーエンドを書いたことは無く、どこか切ない要素を織り交ぜた結末を好む傾向にある。それが作品によって良い時と悪い時があるのだろう。

 もう一つ気になる点はやはり、唐突な満月からの「月が綺麗(=I love you.)」。この言葉は創作者の誰もが通る道だが(そのうち使用禁止条例が出されるかもしれない)、元ネタが文学者だから音楽とも無関係。今回使うべきではなかった。

3.おわりに

 まだ「日本語や文章表現の問題(添削)」が残っているが、これは本編を引用しながら細かい部分まで添削するつもりなので、後日時間のある時に行う。

 文章表現については総合的に一つだけ今反省する。薄々気付いてはいたが、私には「心が足りない」。それを小手先のテクニックで誤魔化しているきらいがある(この程度をテクニックと呼んで良いのかも疑問だが)。noteにて小説やエッセイを技術ではなく「心で書いている」人を何人も見てきたが、やはりその方々の作品の方が心を動かされる。
 次回触れるつもりでいる「情景描写力の弱さ」も、心で書く人なら自然に浮かんでいる気がするのである。ハッキリ言って羨ましい。嫉妬している。

(続きはこちら↓)


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