「それは令和のことでした、」読書感想文
歌野晶午「それは令和のことでした、」読了。図書館の新しい本のコーナーにあり、何の気なしに手に取ったのがきっかけ。歌野晶午は読んだことがなかったのだけれど、ミステリーの短編集だったので、とても読みやすかった。
ずっと、僅かな違和感を感じながら読み進めて、最後にその違和感の正体がわかるので、なるほどー!となれるのがすごく気持ちいい。
とはいえ、読後感がどんよりしてしまうイヤミス的な作品も多いので、そのあたりは、フィクションとはいっても世の中そううまくはいかないよな~としんみり?する。
「有情無情」は、息子が読んで涙ぐんでいたので、国語力のない息子だと思ってたのに、感受性豊かじゃないか!と嬉しくなった作品。しかし作品自体はやりきれない読後感。
「わたしが告発する!」は、実際にこんなことをしようと思ったらこういうふうになるのか……と妙な感慨を持った。人に言えないことはするものじゃない。
全体的に、どうしてこうなる前になんとかできなかったのかと感じることがテーマ。やむを得ずこうなってしまったら、自分ならどうするかを考える。
ネタバレになるから具体的なことが言えないけれど……
違和感の正体にあなたは気づけるか?
そして、そのピンチをどう乗り切るか?
薄い壁の向こう側にあるかもしれない世界にぞっとする作品だった。