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高齢者夫婦の物語。
私は59歳で、退職しました。
企業戦士として、必死に働いてきたのですが、いきなり暇人になり、時間を持て余しました。
団地のご近所さんのかなりご高齢の年金生活者なのですが、外に出ず、家の中での引きこもり老人となりました。
奥様は、甲斐甲斐しく面倒を見ていたのですが、奥様も、息抜きが必要だったのですね。
コンビニで買った弁当を、ご主人に与え、自分は、5〜6人の手芸仲間と
近くの喫茶店で食事やお茶をしながら
おしゃべりを楽しみ、手芸をしていました。
喫茶店は、ウイークデーの営業なので
ウイークデーは毎日手芸仲間が集まりました。
だいたい、おしゃべりタイムは、3時間程度です。
それが終わると、帰りがけに、お惣菜を見繕い、夕食の支度にかかるわけです。
その間に、ご主人は、お風呂に入り
風呂から上がると、ビール。
そして、無言の食事。
奥様が後片付けをしている間、テレビを見て、やがて就寝。
毎日が、その繰り返しで、ご主人は
一歩も外に出る事なく、やがて、病に侵されるのですね。
いまでは、特養に入居されています。
ご主人が何もしないという話は、妻が60歳の頃、奥様からお聞きした逸話です。
私達の世代は、男女平等教育が、かなり行き渡り始めた世代なので、亭主関白は
あまり見られないのですが、私達より高齢の世代、年齢的には、85〜90歳の世代は、例外なく、亭主関白ですね。
奥様を女中代わりに使い、たまのご近所散歩では、奥様は3歩下がってついていき、決して並んで歩かない。
家事は一切しない。
奥さんに口ごたえを許さない。
私達から見ると、これでも夫婦かな?
と思うのですが、高齢者夫婦の繋がり
は、多分あるのでしょう。
ある御婦人が仰っていましたが、「夫に不満があっても、我慢するしかないわね。夫の年金が生活のかてとなっているし、第一、離婚なんかしたら、高額の遺族年金が支給されなくなりますわ。」
完