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果物ナイフのように

先日、果物ナイフを買いました。
昔、テレビ番組で、果物ナイフ好きな人がその魅力を語り、果物ナイフで切ると、みずみずしさが全然違うのだと言っていて。
そのときは、ふーんと思っただけで、すぐに忘れてしまったのに、それから何年もたってから、突然思い出したのです。

買ったのは、ごく普通の果物ナイフ。
どこまで違いがあるのかなあと思っていたけれど、ためしにりんごをざくっと切ると、半透明な汁がしたたって、確かにおいしそう。
果物を切るときだけに使うというのも、特別感があって、いい。

それからというもの、仕事でくたくたになって帰ってきて、果物ナイフでキウイを半分に切って、スプーンですくっていただくのが、日課になりました。

キウイをスパッと切ると、鮮やかな緑がまぶしくて、切り口はつやつやとして、美しい黄緑色のしずくが、まな板に数滴おちて、ああ、今日もようやく終わったなあと、思うのです。

切り口しだいで、果物は驚くほどみずみずしくなるようです。
短歌も同じなのかも。
同じ題材でも、捉え方とか言葉の選び方しだいで、大きく印象が変わるのでしょう。

果物ナイフの切れ味で、自分なりの切り口を、見つけていきたいと思います。

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