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短歌の記憶そのニ

一番古い短歌の思い出は、百人一首。
祖母の家にある年季の入ったカルタで、お正月に家族で遊んだものです。

子ども向けの百人一首の本を買ってもらって、姉と二人で、好きな歌のページにそれぞれ印をいれていました。
姉の好きな歌はこれ。

ひさかたの光のどけきはるの日にしづこころなく花の散るらむ

紀友則

王道ですね。当時姉は小4くらいでしたが、子どもにも美しいと感じさせるのですから、本当に素敵な歌だと思います。

私の好きだったのは、この歌。

これやこのゆくも帰るもわかれては知るも知らぬも逢坂の関

蝉丸

優雅な歌が数あるなかで、なぜこの歌なのか…

むら雨の露もまだひぬまきの葉に霧立ちのぼる秋のゆふぐれ

寂蓮法師

この歌も好きでした。同じく、理由は不明。両方とも僧侶なのは、なんでだろう。

母が学生のころ使っていたという、手のひらサイズの「全釈 小倉百人一首」(曾沢太吉著・福音館書店)をもらったのも、このころでした。
今読むと、歌評が辛辣で、関連する狂歌も載っていてとても面白いし、作者の肖像には、幕末の画家・冷泉為恭の「小倉百人一首画稿」が使用されていて、豪華。
今も時々開く、大切な本です。

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