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偶然の扉

先日、100分de名著のファンミーティングに行った。
能楽師の安田登さんと、ジャズシンガーの綾戸智恵さんのコラボで、源氏物語をはじめとした古典の話やジャズの話など、多岐にわたる興味深い対談。

特に、「偶然を必然にする」というお話が印象的だった。

様々な人や出来事との偶然の出会いを見逃さず、興味をもって近づいて、必然の出会いに変えていく。
パワフルで素敵な考えだと思う。

思えば私が短歌を始めたのも、全くの偶然だった。
たまたま日経新聞をとっていて、学生時代にエッセイを愛読していた穂村弘さんが日経歌壇の選者であることを知り、なんとなく毎週チェックするようになって、さらに数年後の単身赴任の最中、コロナ禍で突然生まれた一人の時間に、ファンレター代わりに始めた短歌。
そのままズブズブとはまって、毎週葉書を送り続け、もう4年近くになる。

偶然の扉は、突然目の前に現れる。
その全てに応えることはできないとしても、少しでも心が動いたなら、思い切って開いてみたい。
そこから見える景色は、どんなものだろう。


予想とは反対側のドアが開き弾かれたように踏みだす一歩
(2024.10.27現代歌人協会 全国短歌大会佳作・花山多佳子選)

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