【労働者派遣法】は日雇い派遣禁止/週20時間以上、雇用期間31日以上の契約
2024年10月27日、衆議院議員総選挙が行われ、
物価高対策をはじめとする経済政策として
・最低賃金の上昇による所得の増加
・社会保険や税金の見直し
などの雇用関連が改めて争点となりました。
雇用の安定はどの時代でも必要とされており
今回は【労働者派遣法】と【社会保険】について
まとめております。
まず、労働基準法第6条では、
第三者が労働者と企業の間への介入が
禁止されていましたが
1986年に【労働者派遣法】が制定されました。
制定前から労働者派遣に近しい事業を
行っていた会社が存在していましたので
派遣事業の適切な運営と
労働者保護の観点で制定されたのが背景です。
【労働者派遣法】では
派遣会社が「雇用元」となり給与を支払い
派遣先が指揮命令の権利を持ちますが、
「雇用元」が指揮命令の権利を持つ必要があるなど
法律の制限がある以下業種においては、
労働者派遣の事業運営が認められていません。
「警備、建設、港湾運送、医療関連、士業」
◆--------------------------------------------
派遣社員は正社員に比べて処遇が不安定とされ、
労働者派遣法は何度も法改正されています。
直近の法改正は、
2012年:日雇い派遣の禁止
2015年:派遣期間の上限3年間
2020年:同一労働同一賃金
2021年:派遣労働者への待遇説明義務化
【登録型派遣】
週20時間以上、雇用期間31日以上の派遣契約。
上記未満で働く方は、
法律で禁止されている日雇い派遣に該当します。
一方で、派遣先が2週間(14日)勤務だとしても、
A社2週間+B社1週間+C社2週間=5週間(35日)など
複数の派遣先を組み合わせて
31日を超えていればOKです。
また、
以下の方は日雇い派遣OK(例外)とされています。
・特定の職種(ソフトウェア開発、機械設計、
通訳、秘書、調査、財務、文書作成、
添乗、受付案内、研究開発、事業立案、書籍制作、
広告デザイン、エンジニア金融営業など)
・60歳以上
・雇用保険の適用を受けていない学生
(雇用保険は週20時間以上、31日以上の雇用で加入)
・生業年収500万円以上の方
・世帯年収500万円以上の生計者以外
【常用型派遣】
派遣会社の正社員/契約社員として入社し、
派遣先で就労する派遣契約。
【紹介予定派遣】
派遣先で正社員/契約社員として
採用される前提である派遣契約。
派遣前に派遣先と派遣希望者が面談します。
【職業紹介】
求人企業に求職者を紹介するサービス
【請負】
注文者が請負人に対して、
仕事の完成に対する報酬を支払う契約。
派遣契約の延長で請負契約になる場合があります。
派遣で1日8時間働くよりも1日4時間からなど
柔軟な働き方ができるようになることもあります。
ちなみに、
昨今サービスが根付いている
タイミーやシェアフルなどのスポットバイトは
日雇い派遣ではなく「職業紹介」として
紹介元が「代理で賃金を支払う」契約のため、
日雇い派遣としては扱われません。
※そもそも派遣でなければ
日雇い(単発勤務)は可能です。
◆--------------------------------------------
また、【社会保険】の加入は
以下労働者に義務化されています。
「収入が年106万円」を超える場合は
健康保険・厚生年金保険(社会保険)に加入義務。
※従業員51人以上の企業などで
週20時間以上勤務している方が該当。
「収入が年130万円」を超える場合は
国民健康保険・国民年金(社会保険)に加入義務。
※従業員50人以下の企業などで
勤務している方が該当。
(年106万の対象ではない全ての方が該当)
健康保険・厚生年金保険→主に従業員が加入
国民健康保険・国民年金→自営業/学生/主婦など加入
ちなみに、住民税は年100万円から
所得税は年103万円から累進で納付義務が発生します。
社会保険の加入条件として
週20時間以上勤務だけではなく、
・月収8万8000円を超える見込みがある
・2ヶ月を超える雇用契約が見込まれる
(2022年10月の法改正により変更)
以上が該当すると、
社会保険加入が義務になります。
【登録型派遣】の中では、
31日以上2ヶ月以下の雇用契約
(契約時から延長雇用の見込みなし)として
社会保険を適用しない派遣が存在しています。
ちなみに、社会保険完備とは、
・労災保険(全ての労働者が加入)
・雇用保険
・健康保険
・厚生年金保険
以上の4つが完備されることです。
まとめると、労働者派遣を行う際は
1)派遣業可能な業種であること
2)日雇い派遣の禁止に該当しないこと
3)社会保険の加入条件を確認すること
◆
労働者派遣は、
人手不足の時代を乗り越えるために
必要なサービスではあるものの、
派遣先の企業にとってはコスト負担が大きく、
厚生労働省(令和2年/2020年)よると、
派遣先が派遣会社に支払う1日8時間換算の
平均派遣料金は2万4203円(1時間3025円)で、
その内、派遣会社が派遣社員に支払う給与は
1万5590円(1時間1948円)です。
派遣社員は処遇が不安定と言われながらも
一定数の人気が続いているのは、
支払い給与(時給)の高さにあります。
裏を返せば、
人手不足の企業は、派遣会社に頼ることなく
自社雇用する方がコスト安になる可能性があります。
時給1500円
+社会保険15% 225円
+住民税5%の場合75円
+所得税3%の場合45円
=1時間1845円
派遣に頼りきることなく、
自社雇用比率を増やす採用活動を行うことも
事業を成長させる上で必要といえます。