たいたい

ーーたい。ーーたい。

ーーたいと、唐突に降ってくるときがある。その場の衝動。長いときもあれば、短いときもある。ふと何も考えたくなくなるのだ。何も考えないで良い場所に行きたくなるのだ。

それがそのうち収まることは知っている。ただ、そのときは終わりが見えない。
ただただ暗い穴の中に落ちて行きたい。

なぜだろうと問うこともしない。衝動に理由付けなんて求めるものではない。ただそうしたいのだ。その気持ちだけがある。その背景は見えやしない。あるのかもわからない。あったとしてもどうでもいい。今あるものが全てだ。

なすべきことがあるのはわかっている。こんなに沈まなくてもよいのはわかっている。沈んだところで意味がないことはわかっている。
それでも、勝手に落ちていく。衝動が身を侵していく。

出口はどこだ。この衝動はいつ収まる。それとも、衝動に身を任せてもよいのだろうか。その方が楽になれるだろうか。そうに違いないと叫ぶ自分と、それはわからないと答える自分と。

勝手に望みを持ち、勝手に最低ラインを設定し、勝手にそれ以下の自分には価値がないという枷を課し、勝手に自分に失望していく。
意味のない連鎖。

あぁ、ーーたい。

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