『傲慢と善良』 辻村深月 を読んで
※重大なネタバレあり⚠️
私事ですが彼と別れてマッチングアプリを始めました。
同じくマッチングアプリを使っていた職場の同僚に「リアルだよ、刺さるよ~」と勧められて読んでみました。
帯には「人生で一番刺さった小説との声、続出」と書いてあり期待が高まります。
※ざっくりとしたあらすじ
婚活アプリで出会い2年交際しているカケル(39)とマミ(35)。
ある日マミがストーカーに自宅に入られたことをきっかけにカケルは結婚を決意します。
結婚式場も予約しマミは仕事も辞めますが、突然行方不明になります。
カケルは必死にマミの行方を探しますが、その過程で様々な事実が判明していきます。
↑我ながらなかなか上手く書けた。
ミステリー要素もあるのですが、これは文庫の解説で朝井リョウが書いていた通り「婚活小説」というジャンル分けがぴったりだと思います。
婚活中の人、婚活をしたことがある人、マッチングアプリ利用経験者には男女共にとても共感できる部分が多いと思います。
特に私が共感したのはカケルが婚活中に苦しめられた「ピンとこない」という感覚です。
私もこれよく思っていました。
カケルが訪ねて行った結婚相談所の老婦人小野里さんが、「ピンとこない」の正体を教えてくれます。
それは「人が無意識に自分につけている値段もしくは点数」で、見合わない相手の時ピンとこないと感じると。
私の場合は「ピンとこない」=「ときめかない」だと思っていましたが、結局自分の値段とは釣り合わないと思うからときめかないのかも知れません。
小野里さんいわく皆、自分につけている値段はそうとうお高いそうです。
マッチングアプリを見てもピンとくる人が全然いない私はいったいどれほどの高さなのでしょうか。
人より優れたところなんて何も無いのに恥ずかしい・・・。
このあたりグサッと刺してきます。
まさに「傲慢」ですね。
この小野里さんが現代の結婚がうまくいかない理由は「傲慢さと善良さ」にあるのではないかと言うのです。
そう、タイトルは結婚できない理由だったのですね。
「善良」はどういうことかというと、善良であるがゆえに親の言いつけを守り大人になっても自分がない、世間知らずや無知ということだそうです。
どうやら私には「善良」要素はあまり当てはまらないので、私が結婚できていない理由はつまりただただ「傲慢」という訳です。
知りたくなかった事実を突きつけられました。
ここからラストの重大なネタバレよろしいでしょうか?
知りたくない方は読むのを止めて下さい。
すみません、書きますね。
カケルはどちらかというと「傲慢」でしたが前の恋人と別れた後自分の傲慢さに気が付きました。
マミは「傲慢」も「善良」もどちらもありますが特に「善良」要素が人より強めの人生でした。
それに気付き自らと向き合って行動を起こしたことによってラストはハッピーエンドになるのです。
ここまでドロドロした挙げ句ハッピーエンドは少し予想外でしたが、読み終えてとても嬉しい気持ちになりました。
普段ドロドロした話を読むことが多かったので心が毒されていたようです。
その他登場人物達も様々な角度から心を刺してきます。
カケルの女友達、マミが過去にお見合いした男性、カケルとマミの両親達など。
こういう人いるんだよなあ、と必ず思うでしょう。
そんなわけでラストがハッピーエンドだとばらしてしまいましたが婚活中の人には本当におすすめの小説でした。
私はこれを読んで、マッチングアプリは今の自分にはまだ早いのだと悟りました。
婚活って誰か良い人いないかなーくらいの気持ちでやってはいけないですね。
それこそ傲慢でした。
もっと心から結婚したいと強く思った時に、傲慢さを捨ててもう一度挑もうと決意致しました。
ちなみに私はカケルよりも年上です。
あ、この年でこんな事言ってる私多分善良さも持ってますね。
最後にもう一度刺さりました・・・。
読んで下さった方、ありがとうございました。
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