ひこうき雲をながめて。
初旅行は学生で 地元初の夜行バスに乗って都会へ
なけなしのアルバイト代は 旅費に消え ただひたすら 街を歩いていた
地元にしても 都会にしても 鉄塔が好きで
見上げる鉄骨に 自分のちっぽけさを感じるのが好きだった
諸行無常とは 儚く消える 感情と知った時
ただ真っ直ぐに伸びる ひこうき雲を思い出す
飛行機がはきだすエネルギーが 明日の天気を伝え
窓をキャンパスにする 結露さえもまた
無限の世界を 有限の時間で 感じる事ができる
自然が創り出す film
人はなぜ 解っていてもなお やめることができないのだろう
人生を作り出しているのは 関わる全ての人だと気付かないのであろう
心の中の叫びが どこかの誰かに届くのであれば
行動を選択する その理由は いくらでもあり
やる理由も やらない理由も 沢山あるこの世の中で
怒りを仕事にして欲しいと 伝え続けるこの世の中で
いつしか山を 自在に操っているように感じ始め
いつしか海を 悲しみに染めていくことに気づく
空に はりめぐらされた タータンチェックの電線
まるで制空権だと 言ったあの頃から 何年経っても
その土地に 住居を置くことさえも
本人の自由と責任というのなら
今 目の前にある現実を どのように捉えていくのだろう
誰もが抱える 張り裂けんばかりの感情を
どう和らげていくのだろう
反射的に 相反したベクトルの 痛みを受け入れる大地が
人を 建物を 夕陽を 石を 砂を 土を 生き物を
桜色に変わる木々を育む 緑や青の光を どう伝えてゆくのだろう
シンプルさ故に 匠が問われるこの時代に
残されて生きた僕たちは どんな縁起物を創り出すのだろうか
愛とはきっと 君にしか解らない 心の栄養
大地に腐葉土を眠らせても 解ける事が許されない物があるなら
それもきっと 神の愛 私たちに眠る 永遠の宿題
海と共に生きる森羅万象は どんな「ふようど」を水に変えるのだろう。