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【アダルトチルドレン】毒親に苦しめられる原因

現代の日本では、人口の8割がアダルトチルドレンだと言われています。

アダルトチルドレンとは、子供時代に親との関係で何らかのトラウマを受けた人のことを指します。

アダルトチルドレンの親は、何らかの問題を抱えています。

その中で特に多いのが、自己愛パーソナリティ障害です。

アダルトチルドレンの方は、親の言動に問題を感じ、改善して欲しいと思ったこともあるでしょう。

しかし、残念ながら、親が自己愛パーソナリティ障害であった場合、性格や言動が改善する見込みはほとんどありません。

自己愛パーソナリティ障害の特徴として、自分に問題があるのにもかかわらず、その原因を周囲のせいにする傾向があるからです。

アダルトチルドレンになってしまった人も、子供の頃は親のことが大好きだったと思います。

しかし、だんだんと大人になり、自分の生きづらさの原因がアダルトチルドレンにあり、親に問題があると気づいた時、親に対して激しい怒りや恨みが湧き上がってくるかもしれません。

しかし、アダルトチルドレンに上手く対処していくために大切なのは、親を責めることではなく、親の力学について理解を深め、同じ過ちを繰り返さないようにすることです。

また、HSPや発達障害は先天的なものであるのに対して、アダルトチルドレンは後天的な要因が強く、思考の癖を理解することで、上手く対処していくことが可能です。

アダルトチルドレンの問題は遺伝子に似ており、世代から世代へと引き継がれていきます。負の連鎖は断ち切らなければなりません。

自分は子供を作るつもりはないという人でも、自分自身が楽になるためにも、周りの人に良い影響を与えられるようになるためにも、アダルトチルドレンの問題に向き合うことをおすすめします。

今回はおもに自己愛パーソナリティ障害やアダルトチルドレンの特徴や原因の部分をシェアしていきたいと思います。


①自己愛パーソナリティ障害の特徴


自己愛パーソナリティ障害という言葉は聞き慣れない人も多いのではないでしょうか。

私もアダルトチルドレンという言葉は知っていましたが、自己愛パーソナリティ障害という言葉を耳にしたのはごく最近のことです。

アダルトチルドレンは広く知られているのに、自己愛パーソナリティ障害についてほとんど知られていないのは非常にもったいないことだと感じました。

なぜなら、アダルトチルドレンの親は自己愛パーソナリティ障害であることが多く、自己愛パーソナリティ障害について知れば、苦しみの原因や対処法について理解が深まるからです。

また、自己愛パーソナリティ障害は親に限らず、職場の上司など身近なところで出会う機会があり、それらの人々と深く関わることでうつ病などの疾患に繋がる可能性もあります。

では、自己愛パーソナリティ障害の特徴とは何なのでしょうか。

自己愛パーソナリティ障害の診断は、基本的にはアメリカ精神医学会によるDSM-5のいずれかに基づいて診断されます。

誇大性(空想または行動における)、賛美されたい欲求、共感の欠如の広範な様式で、成人期早期までに始まり、種々の状況で明らかになる。以下のうち5つ(またはそれ以上)によって示される。
1. 自分が重要であるという誇大な感覚(例:業績や才能を誇張する、十分な業績がないにもかかわらず優れていると認められることを期待する)。
2. 限りない成功、権力、才気、美しさ、あるいは理想的な愛の空想にとらわれている。
3. 自分が“特別”であり、独特であり、他の特別なまたは地位の高い人達(または団体)だけが理解しうる、または関係すべきだ、と信じている。
4. 過剰な賛美を求める。
5. 特権階級(つまり、特別有利な取り計らい、または自分が期待すれば相手が自動的に従うことを理由もなく期待する)。
6. 対人関係で相手を不当に利用する(すなわち、自分自身の目的を達成するために他人を利用する)。
7. 共感の欠如:他人の気持ちおよび欲求を認識しようとしない、またはそれに気づこうとしない。
8. しばしば他人に嫉妬する、または他人が自分に嫉妬していると思い込む。
9. 尊大で傲慢な行動、または態度。

『DSM-5 精神疾患の診断・統計マニュアル』(医学書院)



では、自己愛パーソナリティ障害の原因とは何なのでしょうか。

実は自己愛パーソナリティ障害の原因についてはまだあまり解明されていません。

精神分析学者カーンバーグの説によると、人が生まれながらに持っている気質的要因に環境的要因が影響し、自己愛性パーソナリティが形成されていくと言われています。

私の仮説では、機能不全家族の中で育ち、幼少期に自己愛が満たされなかった場合、その歪みのベクトルが自分の外側に向き、周囲を否定することで自己愛を満たそうとすると自己愛パーソナリティ障害になるのではないかと考えています。

反対に、歪みのベクトルが自分の内側に向き、原因が自分にあると考えるとアダルトチルドレンになるのではないかと思います。

②アダルトチルドレンの特徴


一方で、アダルトチルドレンの特徴とは何なのでしょうか。

注意すべきなのは、自己愛パーソナリティ障害が医学的な診断名であるのに対し、アダルトチルドレンは診断名ではなくあくまで概念であるということです。

1970年代にアメリカで提唱されたAdult Children of Alchoholics(ACoA)がもとになっており、アルコール依存症のある親のもとで育った人という意味で使われていました。

現在では解釈が広がり、機能不全家族のもとで育ったトラウマが、現在の生きづらさや人格形成に影響している状態として使われるようになっています。

いわばPTSDの一種であると捉えることもできるのではないかと思います。

アダルトチルドレンの明確な診断基準はありませんが、ACoAについて記したジャネット・ウォイティッツは、以下のように示しています。

1. ACoAは何が正常かを推測する(「これでいい」との確信が持てない)
2. ACoAは物事を最初から最後までやり遂げることが困難である
3. ACoAは本当のことを言った方が楽なときでも嘘をつく
4. ACoAは情け容赦なく自分に批判を下す
5. ACoAは楽しむことがなかなかできない
6. ACoAはまじめすぎる
7. ACoAは親密な関係を持つことが大変難しい
8. ACoAは自分にコントロールできないと思われる変化に過剰に反応する
9. ACoAは他人からの肯定や受け入れを常に求める
10. ACoAは他人は自分と違うといつも考えている
11. ACoAは常に責任をとりすぎるか、責任をとらなさすぎるかである
12. ACoAは過剰に忠実である。無価値なものとわかっていてもこだわり続ける
13. ACoAは衝動的である。他の行動が可能であると考えずに一つのことに自らを閉じこめる

斎藤学『アダルト・チルドレンと家族―心のなかの子どもを癒す』


③自己愛パーソナリティ障害の親から受ける影響


では、親が自己愛パーソナリティ障害の場合、子供はどのような影響を受けるのでしょうか。

自己愛パーソナリティ障害の親に育てられた場合、子供は親の承認を得るために「正しい」反応方法を常に見極めなければなりません。

ありのままの自分を認めてもらえなかった子供は、大人になっても自信を持つことができません。

やがて子供は相手を喜ばせられない原因は自分にある、自分は愛されるに値しない人間だと考えるようになります。

これが自己愛パーソナリティ障害の親に育てられた子供がアダルトチルドレンになってしまう理由だと考えられています。

また、アメリカの心理療法士であるキャリル・マクブライドは、自己愛の強い母親とその娘に見られる問題点について、「自己愛マザーの10本の毒針」と呼び、以下のように示しています。

1.母の愛情、承認を得ようとどれほど努力しても、喜ばせられない。
2.あなたがどう思い、どう感じるかより、あなたが母にとってどう見えるかが重要だ。
3.娘に嫉妬する。
4.娘が健全な方法で自己を表現することをよく思わない。
5.いつも母のことばかりだ。
6.人に共感できない。娘は自分の気持ちが受け入れられたと感じられず、やがて自分の気持ちを大切にしなくなる。
7.自分の感情に向き合えない。
8.自分の不幸や劣等感を娘のせいにする。
9.あなたを娘ではなく友達のように扱う。
10.娘との間に境界線やプライバシーがない。

キャリル・マクブライド『毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供』


娘に限らず、自己愛の強い親のもとで育った子供は、親から送られたネガティブなメッセージを内面化させ、いつの間にか、それが自分の情緒や言動のパターンになってしまっています。

一度内面化したメッセージはなかなか消し去ることができません。

しかし、それがどこから生まれ、あなたの人生にどんな影響を与えたのか知り、健全な自己イメージを築こうと努力するならば、否定的なメッセージを打ち消すことは可能です。

具体的な対処法については、また別の記事で紹介させていただきたいと思います。

【参考資料】
・キャリル・マクブライド『毒になる母ー自己愛マザーに苦しむ子供』
・自己愛性パーソナリティ障害の特徴やタイプ、診断、治療
https://tokyo-brain.clinic/psychiatric-illness/personality-disorder/1144
・アダルトチルドレン(AC)とは?診断や症状、特徴など/専門家監修
https://h-navi.jp/column/article/35026768

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