メールに潜む妖怪
みなさん妖怪は好きですか?
私は大好きです。
ただ、最近はめっきり見かけなくなってしまって悲しい限りです。また会えたら嬉しい。
ときに、件(クダン)という妖怪をご存じでしょうか。
体はウシ、頭が人間という出で立ちで、頭が良く人間の言葉を理解します。
ただし生まれると間もなく死んでしまうという悲しいサガを背負っています。
母ウシはどんな気持ちなんでしょうか。
件の特徴は見た目だけでなく、その特殊な能力にあります。
生まれた件はすぐに予言を行います。その予言の的中率は100%。
江戸時代には豊作を知らせるめでたい妖獣として知られていましたが、後年になると災いを知らせる不吉な妖怪となりました。
ポケモンのアブソルのモデルとも言われています。
本当かどうかはわかりませんが、第二次世界大戦の終わりころ、
神戸で件が生まれ「小豆飯かおはぎを三日以内に食べれば空襲を免れることができる」と予言したという噂が広まったそうです。
私は件が好きで、一度お目にかかってみたいと思いながら生活しています。
ウシのいる場所にお邪魔する機会が極端に少ないので難しいとは思いますが。
そんな件へのLOVEが発揮されたのか、私はメールを書くときに件を仕込みます。
メールやチャットで「先日ご連絡いただいた~~の件ですが」という言い回しをよく使いますよね。
この「件」は「けん」と読むのが正しいですが、私は「KUDAN」と入力してから変換することにしています。
最初は「けん」だと変換候補が多くて面倒だったので「くだん」としていたかと思います。
それがいつしか妖怪に変貌し、私はメールに妖怪を忍ばせる人間となりました。
いいんです、相手が気が付かなくても。
いいんです、相手が件を知らなくても。
私が「妖怪を送ってやったぞ」と思って楽しい気持ちで仕事ができれば、それでいいんです。
そしてあわよくば件が私の前で何か予言をしてくれれば、これほど嬉しいことはありません。
件「明日は曇りときどき晴れ」
まあ、それでもちょっとくらいは嬉しいです。
仍て件の如し (そ)
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