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#006 お盆らしい過ごし方
長い夏休みの中で、自由にならない数日間
というのが子どもの頃のお盆のイメージ
田舎の本家だったわたしの家は
お盆になると提灯を持ってお墓参りに行き
ご先祖さまを家に連れて帰るところからお盆がスタートする。
主に父の仕事だったと思うんだけど
必ずわたしたちも連れていかれた。
彼岸花は今でもその場所の象徴だ。
家の真ん中にはおじいちゃんが座っていて
普段はあまり会わないような遠い親戚の方々も
お供えを持って挨拶にくる。
内孫としてニコニコ挨拶をさせられる。
お母さんは毎朝お供え膳とお茶を供える。
茶の間で寛いだりはできない。
それがお盆の日常だった。
昔ながらの物静かで厳格な雰囲気の自宅が、小さい頃は大嫌いだった。
そんなお盆らしいお盆を過ごさなくなってどれくらい経つんだろう。
大学生になったとき、逃げるように実家を出た。
実家から離れた場所にずっと住んでいたので、うちの子たちはお墓参りの経験すら乏しい。
お盆はただ祖父母の家に遊びに行くタイミングと思っているかもしれない。
帰省できない2度目の夏だけど。
あんまりいい思い出じゃないお盆だけど
だからといってご先祖さまに対する想いがないわけでもない。
認知症になって丸くなったおじいちゃんが、わたしの子どもを抱っこしたこと
わたしが作ったビーズのピアスをおばあちゃんがしていたこと
時々ポツポツと思い出す。
あんなに嫌だった地元に、また戻ってもいいかなと思えるくらいは年を取った。
今度帰省したらゆっくり手を合わせよう。