本を読まない人が本を読んでいる風景
ちょっと足をのばして、お気に入りの本屋さんへ行ってきた。
ここに来ると落ち着く。
出会うべき本がかならず見つかる。
ぎゅいいんと本の世界に入り込んで、ふっと横を向くと目を疑う光景が。
なんと、夫が腰かけて本を読んでいるのだ。
「えー。いっつも本屋さんきてもスマホいじってるやん」
夫は、まったくといっていいほど読書をしない人間なのです。
読むのは、定期購読しているホビージャパン(プラモやらフィギュアの情報が満載な雑誌)ぐらい。
本を読まない人間が、本を読んでいる。
この姿をみて、なんだか嬉しくなった。ただそれだけのことで。
「なんだよー。普段から本読んでる人が本読んでもぐっとこないのかよー」という声も聞こえてくるが、まぁそれはそれで別の機会に、ぐっとくるとしよう。
夫にとって本屋はアウェーだ。おそらく。
アウェーの場に身を置くことは「別にそんな好きじゃないし‥」と思って敬遠しがちかもしれない。スマホのほうが「すぐさま好きなこと」があったりする。だからその場に居ながらスマホをする気持ちは、とてもよくわかる。
あぁ、なんかでも。そこに本があるのなら、アウェーな自分のまま本を手に取ってみるのもいいもんだな、と思った。
夫曰く「大型書店だと見なかったと思う」と口にしていた。
情報量が多すぎるのだ。
コンパクトにまとまっている本屋さんで、選書のセンスが良いとすぐに「出会う」ことができるらしい。数学を教えている夫は、さっそく森田真生さんの本を見つけぺらぺらとめくっていた。
アウェーだと思ってるものごとにも、ところ変わればそうでもないってことがあるのかもしれない。なんにでも相性があるのだな。
十把一絡げにして、ものごとを捉えるのは、なんだか勿体ない生き方な気がした。毎日が同じことの繰り返しだと、ひとまとめにしてないか?と自問した。
おしまい
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