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汝に名をつける!!

その光は、あるときから、その空にあった。夜には月よりも輝き、朝には太陽がでるまえから、一帯は明るかった。それに気づいたのは女子高生のかなちんだった。かなちんは、目を細めて初めてそれをみたとき、宇宙からの来訪者と思った。手を振ったりジャンプしたりして「それ」にアプローチしてみるけどなんの反応もない。かなちんは、何日かそれを続けたけれど、疲れてしまった。友だちのジャージに教えてみたが、ジャージを着たまま、「何も見えない」と首を振った。え、夜明るいじゃん? 夜には来たくない、と返される。かなちんはずーっと考えたのだ。この、自分以外に見えない光をどのように意味づけたらいいのか? そういえばバッタって、人間界で市民権ないよね? 無理やり囚われてカゴに入れられたり、捕まえられる途中に潰されたりする。車やバイクが弾いたりもね。あの光も同じようなものではないか? そうだ。あれは、あそこにある電灯みたいなものだ。冬に小さな風で木の葉が竜巻のように回るように、何かの自然現象でいきなり存在してしまったのだろう。そう思うとかなちんは、もう、光を気にしなくなった。とても、無意味なものに感じたのだ。
そのころ、光の中にある1800次元空間の住民たちは、地球にある生命というのが、あまりに低俗で、これから苦難をかけて登りゆく100000次元の神の領域まではとても連れていけないと思っていた。
光はいつか消えた。長い旅に出たのだ。かなちんは、ふと、光が消えたことに気付いたが、冬に葉っぱが落ちるようなもので、なんの感慨もなかった。

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