イマジナリーねこ(詩)
自転車を漕ぎ
本屋さんの自販機で
アクエリアスを買っては飲んだ
あの時代
すべてはあおいかなたへ集約され
どこまでも時間は進みゆくようだった
だからあなたもみたのだろう
いつかの忘れられた棚の片隅にあるCDを
それはコンポにかけられると
聞いたことのない音楽を流した
人の姿をした猫が
鰹節をかみかみしながら
耳の動きが
音に連動している
だけどあなたはどこに行ったのだろう
ぬくもりを覚えている
エリーゼのために
ピアノはしずかにささめく
部屋の入り口から
くびをかしげて
うかがう
かわいいやつめ
そしてあなたはどこにいったのか
姿を見ないときも多い
寒い冬には身を切る痛みが
生きてる気概を生む
消尽し得ない活力に
定まらない先
ゲームで
世界を破壊する
なぐって蹴って
ボスにやられる
いついなくなったのか
あなたの鳴き声も
聞いたことがない
雪の降った日に
あなたが見えないことに
気づいたのだ
ぬくもりすら
幻であって