ある意味での究極グルメ
ー12時が近づくときこえる、配膳台を運ぶ音
給食室から漂う、あたたかいごはんの匂いー
きっとこんな情景は、学校の給食という文化を通ってきたひとなら、容易に思い起こすことができるだろう。
体育の後、喉が渇きすぎて一瞬で飲み干した牛乳。
クラスの猛者が集う、残り物をかけた、残り物じゃんけん。
月1くらいの頻度でおこる、学校の給食と家の夕食のメニュー被り。
「ちゃんと献立表みてよ〜」と文句を言うと、「給食のおばさんと気が合っちゃった」と、母はさらっと交わしていたっけ。
そんな様々な思い出が詰まった給食は、一種の最強のグルメだと思うのだ。
今、食べようと思っても、食べることができないという希少性。
以前、学校を模した居酒屋に行ったことがあるが、残念ながら、私の想像とは異なるものだった。
給食は、地域によっても、時代によっても、変わってくる。そのため友人と話していても、共感できるとこもあれば、何それ?となることもあったり。
わたしが特に好きだったメニューは、ジャンボ餃子だ。
ジャンボ餃子は、その名の通り、手のひらサイズのでっかい揚げ餃子だ。このメニューは給食でしかみたことがない。バリっとした皮の食感と、具沢山の野菜やらお肉やらがとてもおいしかった。
家の味とは、少し違う味わいを教えてくれたのもまた給食である。
今度再現してみる価値はあるかもしれないなぁ。
ネットで話題のお店を調べ、お金を払い、お酒を飲み、イタリアンから中華フレンチエスニックまで、世界中の国の料理を食べられるようになった今、
じゃがいもの煮崩れた給食の煮物が、ふと、恋しい。
そんな給食はわたしにとって、
ある意味での究極グルメだ。