3ヶ月で教え子の点が+40点になった話。
教え始めて3ヶ月。
4年生の男子Sのお話。
最初は国語も算数も10〜20点くらいだった。
塾を3つほど転々としても、結果はでない。
そこで僕に家庭教師の依頼が来た。
まずは面談をして、問題を洗い出す。
そして出た問題は2つ。
「集中して机に5分しか座れない」
「文章題を理解できない」
お母さんと相談して、その子に合わせた個別のカリキュラムを作った。
1.勉強時間を細かくタイマーで区切る
まずは「机に向かう習慣」を作るところから始まった。
そこでタイマーを使用。
「10分やったら5分休憩、を1セット」として、
これを何回まわせるかを一緒に挑戦した。
どれだけ問題が途中でも、10分経ったら即やめて休憩に入る。
「S、今日はもう2セットもできたね!あと何セットいけそう?」
まるでゲーム感覚。
「今日は4セットもできたね!前回より多いよ!」と盛り上げていった。
最初は「1時間で4セット」回すのがやっとだった。
それが今ではなんと、
「15分やって3分休憩」を6セット(約2時間)を継続して回せるようになった。
このように、「短時間集中して、短い休憩を繰り返す」ことを「ポトロードテクニック」という。
これが効果を発揮したのだった。
2.完全オーダーメイド
着手が必要だったのは「文章題」だった。
なぜなら読解ができないと、どの教科でも「何を聞かれているか」がわからないからだ。
Sの読解レベルを観察すると3年生レベルだった。
なのでまずは3年生の簡単な読解ドリルを購入。
1日5分音読することを宿題とした。
スポーツの基礎練のように、毎日音読をする習慣をつけた。
すると、変化が3ヶ月経って現れた。
今まではつっかえながら読んでいた文章が、スラスラ読めるようになったのだ。
たくさん音読をして、語彙や表現をを耳で覚えた甲斐があったのだろう。
こうした読解の変化によって、すべての教科の点数が上がっていった。
Sからの言葉。
昨日のこと。
僕が家庭教師に行くと、Sとお母さんがニコニコしながら迎えてくれた。
S「先生、これ見て!」
算数のテストを見せるS。
そこには「70」と書いてあった。
「おー!!すごいじゃん!!」
1ヶ月前の算数テスト。
全力で一緒に準備したが「30点」で、Sはとても悔しがっていた。
それが今回はなんと40点も上がった。
「前回のかり返せたね!!」
S「うん!!」
お母さん「本当にありがとうございます」
僕「90点以上いったら賞状あげるからな」
S「ほんと?!次こそはとる!!」
こうしてノリノリで授業に入っていった。
休憩時間にSがボソッと言った。
「先生、僕、勉強でこんな嬉しい気持ちになったのはじめてだよ」
それを聞いて少し泣きそうになった。
今までSは周りの友達が有名塾に通う子たちばかり。なのでたくさん比較されてきた。
「小学校のテストで100点とれるのは当たり前なんだって。友達に言われた」
会った時はしょんぼりしていた。
でも今は違う。
一つの成功体験を掴んで、顔つきが変わった。
勉強へのイメージも変わった。
「個別の良さはここにあるなぁ」と思った。
その子の特性に合わせて。
最適な成長の階段を用意する。
そして、その成長の過程を一緒に喜ぶ。
「S、今回の嬉しい気持ち忘れずにやってこうな」
「うん!」
笑顔で机に向かうSの横顔を見て、「この仕事はほんとうに最高だな」と思った。