人を生きる

人は死ぬと
思い出になる

人が死ぬとは、そして生きるとは、だれかの思い出になるということ

たとえ人類最後の人間であっても
だれかは、人間だけとはかぎらない

よその星で生まれた別の心を持つなにか
この星で生まれた、人間じゃないなにか
そんなだれかがあなたを知ったらどう思うだろう

生きてるときのその人をその顔をその声を知らなくても
生きていたときにその人が
見たことしたこと考えたこと残したものを知れば
思い出は生まれる

まだ生きている人の思い出もそう

生きているときから人は
だれかの思い出として生まれなおしている

自分は自分だけのものじゃない

死んだらあなた自身はなくなるけれど
死んでも残るのは
多くのだれかの心に散らばった
あなたの思い出

そして
死にゆく人が持っていける
たったひとつのもの

それもまた思い出


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きむらしんいち
スキひとつじゃ足りないっていう気持ちになることがもしあったら、考えてみていただけると、とてもわかりやすくてうれしいです。