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手作り漬物文化をなくさないためにも。

※本日は長文になっています。

今年6月から改正食品衛生法の猶予期間が終了し、
所轄保健所の許可がないと漬物の製造販売ができなくなります。

少し前には秋田のいぶりがっこなどのことでも
話題になっている件です。


一部の自治体が漬物製造をする製造所を作り、
その場を共有して引き続き漬物製造を行うというところも
出てきているようです。

福岡でもニュースになったようです。

確かに今現在、作り続けている方々がもう作らないとなると
手作り漬物の供給量の減少してしまいます。

ただ、漬物も食品というカテゴリ上、必要最低限の施設や
食品製造に関する知識を要している必要があります。


これまで長年漬物を作られてきている方々であれば
もちろん、こうしたところは一切問題ないとは思いますが、

許可がなく製造販売できる食品というのは
新たに参入しやすく、ある意味、危険でもあります。


実際にきゅうりの浅漬けを棒に刺して販売することは
禁止されているのにも関わらず、
お祭りや催事場の一部ではまだまだ見かけることが
多いです。

しかも温度管理もしていないことが多いです。
※発泡スチロールに氷を入れて販売しているなど


実際にずっと以前に、きゅうりの浅漬けで食中毒が
起きたことがありますし、白菜の浅漬けでも同じことが
発生しています。


事故防止という観点からも食品を製造販売するということは
一定の公的機関の決めた条件下である必要があると
私は考えます。


でも、施設の整備に係る費用をが・・・
という話にもなると思いますが、

記事の中にあるセンサー式手洗い場など高額な設備は必要ありません。


保健所さんの指導は手を触れずに水を出す、止めるができれば
良いのです。

つまり、蛇口を捻るタイプから肘などで操作できるレバータイプに
変えるだけでこの条件を満たすことができるのです。

これなら数千円です。

これは例えですが、しっかりと保健所などに相談することで
費用をできるだけかけず、施設の整備が可能です。


実際に私どももセンサー式の手洗い場ではありません。


こうした法律や設備の問題よりも
今漬物製造を行っている方々の後継者がいない、
ということが「手作り漬物の消滅危機」だと
私は考えています。

漬物づくりは一定のマニュアルは作ることができますが、
野菜に合わせた塩の量や重し、熟成期間など多種多様で
さまざまです。


この法律改正によって手作り漬物の消滅危機が
前倒しになっているということは否めません。


ただ、裏を返せば、

今から手作り漬物を引き継ぎたいという方が漬物製造許可を受け、
漬物づくりを指導してもらいながら製造販売を続けることはできます。


私の野菜生産者さんが自分で作った野菜をぬか漬けにして販売したい、
ということで昨年新たに漬物製造許可をとり、糠漬けの販売を始めました。

今では地元スーパーのみならず、関東・関西の百貨店の催事に
出店している方もいらっしゃいますし、
首都圏の小売店さんとも現在商談中です。



誰かが続けたいと思えば、
この手づくり漬物は消滅しないと思います。


なぜなら、製造許可さえ取ることができれば、
大きな産業機械は必要なく、
野菜と塩、そして容器と重石があれば開業できます。


技術は一つずつ学ぶことで
どんどん応用力が高まっていきます。

美味しく作ろうと思うのではなく、
旬の野菜の美味しいところを
味わってもらいたいと思えば良いと思います。


漬物はスーパーに行けば、いつでもどんなものでも
購入することができます。

しかしながら、手作りの漬物とはやはり違うと思います。


私たちの目指す漬物づくりも、
究極の家庭漬けである田舎漬けです。


これからも手作りの漬物はなくなってはならない
貴重な日本の食文化の一つと思います。


手作り漬物の継承に私たちも努力し、
できるサポートをしていくつもりです。


漬物文化の継承を業界の一人として
願っています。

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