香水

2020年6月29日

隣をすれ違う若い人の、甘い匂い。
4回フロアのエレベーター上がった時に、混ざって襲いかかってくる複雑な匂い。
夏の満員電車のあの匂い。
すれ違った人の汗の匂い。
やたらと気取ったあの人から臭う華麗なうざっだるい匂い。
自分の鼻の中が切れた時の血の匂い。
鼻にツンと来る整髪料の匂い。
全部が全部に嫌気がさしても、支配できない。良い香りで包み隠そうとも奥からはっきりやってくる、人間の匂い。
逃れられない私たちの匂い、私からする匂い。
吐き気がするような匂い。
これから逃れられたらどんなにいいのだろうか。
あぁ、けれど逃げるなんてことはしない。
向き合って認めるしかないのだ。私は人間だから。

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