2020年8月2日

その色を見て貴方を思い出してしまった。
意図しない内に、今日のカバンと靴の色がその色だった。
元々、貴方と出会う前から好きな色だったけれど、貴方があまりにもこの色が好きだと言うから、この色が貴方に見えてきてしまった。
姿見で自分の姿を整えていると、貴方を整えている気分になる。
貴方はとても自分勝手でどうしようも無かったから、こうしていると、貴方を手なずけた気分になる。
けれど、それも全て幻想だと気がついて、カバンも靴も投げ出して、部屋の中に横たわる。
部屋を照らすテレビの光が、ジリジリと部屋を焼いていく。
日差しを避けたこの部屋で、一人派手な色を身につけてたって、妄想の中の君が私に手を差し出すことは無い。
疲れてしまった。生きていることが苦しい。
こんなにも毎日生きるのに必死なのに、貴方はこの世に存在しない。私が生み出した君。あぁ、けれど君の事を知るのは私だけなのだ、それが、唯一の救いだ。

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