2020年8月4日

暑い夏がやってきた、いちばん嫌いな季節だ。
かき氷の上で砕け散る青、風鈴の上ではしゃぐ透明。
皆が皆、海辺に集まればすぐに波に攫われてしまう。攫うのなら、私の大切なネックレスは浜辺に置いていって。
陽炎の中で揺らめいて消えてしまった星に願いを届けて。
ぼーっとした頭の中に、ばらばらになった宝石を必死に詰め込んだ。
面白くもないラジオが、遠くの方から聴こえてきて、扇風機の風がやたらと生ぬるくて、日差しが眩しくて外には出られなくて、毎回頑張ろうと試みるけど、全く頑張れない。
この夏中に埋めないといけない原稿用紙は真っ白。
そんな季節。いちばん嫌いな季節。貴方が死んだ夏。

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