2021/07/13

焼け野原、歳の暮れ、パセリ

 パセリ畑が燃えている。そう、確かに燃えているのだ。
 幻影でも夢でもない。むしろ、パセリ畑が燃えていない幻を見ているようだった。
 気が狂った人も多くなる歳の暮れ。誰かが煙草でも投げ入れたのだろうか。気がついた頃にはもうパセリ畑が燃えていた。
 消そうと水を浴びせても火がバケツ一杯の水を飲み込む。私は無力だった。
 呆然と立ち尽くしている間に、消防隊がやってきて火を消し止めた。誰かとなにかを話したような気もするが、何も記憶に残っていない。
 畑は焼け野原同然だった。
 ここで私が愛情を込めたパセリを作っていたなどと、誰が信じるのだろう。
 嗚呼、今年はよく出来たパセリだったのに。ピザに乗せたら最高に美味しいのに。

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