赤ずきん2
2020年7月24日
私は祖母の家に着いた。
「おばあちゃん、こんにちはー!」
猫なで声で挨拶する。こうすると、時々お土産やお小遣いをくれる。
けれど返事がない。
「おばあちゃんー?」
扉に手をかけると鍵はかかっていない。
警戒しつつ、部屋に入る。
「赤ずきんかい?」
しわがれた声。いや、これ明らかにおばあちゃんの声じゃないだろ。
近づいて確認すると、明らかに毛むくじゃら。どう見ても狼。
流石にこれでは騙されない。
けれど、狼は襲ってくる様子は無いようだ。
ちょっと話しかけてみようか。
「おばあちゃん、おばあちゃんの耳はどうしてそんなに大きいの?」
「それは、お前の声をよく聞くためだよ」
いや、前々からこんなに大きくなかっただろ。
「おばあちゃんの手はどうして毛むくじゃらなの?」
「あー……寒くないようにするためだよ!」
そんな訳あるかよ。灰色の毛なんて生えていいものか。
「そっか、じゃあ持ってきたものここ置いとくから。じゃあ、元気で」
多分これ関わらない方がいいな。帰ろう。
「あっ、赤ずきんや……」
「ばいばーい」
私はそのまま家路に着いた。
やってしまった。また赤ずきんを取り逃した。いい計画と思っていたが、結局水の泡か。
まぁ婆さんは腹の中に入れたからいいとしよう。
食休みとして、少し眠っていくか。
そう思って眠ってしまう。
猟師がやってくるのはもう少し後の話。
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