機械音

2020年7月21日

隣に眠るロボットの、空虚な機械音。
人間のように私の眠るロボット。
カチ、カチ、と寝息の代わりに時計の音が響く。
なんのために、この機械音が鳴る。私を慰める為か、私はなぜこのロボットといるのだろうか。
必死に求めて居るのに、ロボットでは私の気持ちを満たせない。
ロボットに擦り寄って、その冷たい鉄の腕を枕にしてしまう。
響く、空虚な機械音。部屋に響く空虚な音。
なんのために鳴る、なんのために響く。
空虚な機械音が鳴り響いても、朝はやってくる。機械音を掻き消すようなアラームの音。
忘れてしまう。空虚な音に支配されていた事も、無に向かって考えていたことも。
朝が来れば全て忘れる。
リセットして歩き出す。
それが悲しいと、ロボットは。

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