【実録】リサイクルの運用をやめたら、03フェーズ転換率がバク上がりした話
| 冒頭
2022年3月からHiTTO株式会社で一人目インサイドセールスとして、組織立ち上げを行ってきました。
どのようなことをやったのか、詳しくは以下のnoteに書いています。
【実録】一人目インサイドセールスが、最初の3ヶ月でやったこと全て #Tacto 2nd note
【実録】一人目インサイドセールスがやったこと全て(4ヶ月目〜6ヶ月目) #Tacto 6nd note
個人的にインサイドセールスは、サッカーで言うミッドフィルダーのポジションで、営業プロセスにおける中心となるセクションだと思っています。
そのため、マーケもフィールドセールスも含め全体を見渡せることで、営業プロセスの最適化を提案できるポジションでもあると考えられます。
今回のnoteは、そんなインサイドセールスならではの動きが実際にできたよっていう話になります。
| 今回の想定読者
● The Model型の営業組織で何かしら課題を感じている営業マネージャー
● インサイドセールスとフィールドセールスのコミュニケーションに課題がある組織
● リサイクルフォローが回っていない、02フォローが滞留しているレベニューモデルに陥っている組織
| 今までのHiTTO社の営業プロセス
2022年3月以降、いわゆるThe Model型と呼ばれる営業組織を形成しており、各セクションの役割は以下のようなものです。
| きっかけ
マーケやインサイドセールスチームのKPI達成率に比べると、相対的にみてフィールドセールスのKPI達成率が低いというアンバランスな状態が慢性化していました。
端的に言うと、商談トスアップ数が増加しても、それ自体では事業成長角度を引き上げることに、あまり影響しなくなってきているという状態。
こういった状況になると、多くの組織では「受注率を上げるにはFSの営業力を強化せねば!」となりがちです。
が、HiTTO社においては他の企業でトップクラスの営業成績を残してきたフィールドセールスが揃っており、営業力不足がだけがボトルネックとは考えづらい状況でしたので、別のアプローチを考えました。
| 製品の特性と、状況整理。
HiTTOの製品の特性
① なくてはならない(Must Have)ではなく、あったら便利(Nice To Have)
② 管理部門向けの商材=コストにシビア
HiTTOの初回商談後によく起きること
「ニーズにはフィットする」が「今じゃない」
→ 初回商談後の02フェーズの商談が増加する
→フィールドセールスが受注まで営業するとなると、業務量が多くなりすぎる
02フェーズ商談増加の対策
FS側で「自分ではフォローしきれない」ものをリサイクルフェーズに変更する運用
→ISがリサイクルフェーズになった商談のフォローを実施
| なぜリサイクルをやめたのか
「リサイクルフェーズを設けて、ISがフォローを実施する」というのは、インサイドセールスのチームを設けている組織ではメジャーかと思います。
HiTTO社では以下のような問題点が出てきました
(おそらくHiTTO社に限らず「あるある」だと思います)
リサイクルフォローの問題点
問題点①
Nice To Haveな製品ゆえ、02フェーズ商談が多くなる
結果、初回商談後にこまめな連絡をするわけでもなく「何となく保持」し、連絡が取れないからリサイクルフェーズへ変更
インサイドセールスがいくら頑張っても、接触すら困難 or 接触できても検討意欲減退している
問題点②
「リサイクル」という便利な概念のおかげで、FS側もIS側もどこか他人事
FSからISへの引き継ぎも簡潔すぎる(ほぼ何も書いていないことも)
ISもフォローしても商談創出になりづらく、フォローするモチベーションが上がらない
リサイクルフォローをやめた
ふと本質に立ち返り以下のように考えました
・「購買者」側からしたら「リサイクル」と表現されてるのは、果たして嬉しいことなのか?
否。
購買者側からすれば、「興味はあるけど、今は買えないだけ」で、「商談自体は地続きに続いている」ということが多いはず
なので、購買者側の実態に営業プロセスも則したほうがいいだろう、と考え以下の変更をチーム内に提案し、(結構大きな変更だってので緊張しましたが)無事に理解が得られました
「リサイクルフォロー」を廃止
「失注」の定義を見直し
「HiTTOが解決できない課題だった」
「検討導入意思が一切なく、検討導入を行うキーマンとの接点もない」
「03フェーズ」の定義を見直し
「ニーズと時期が見えている」
02フェーズの定義を見直し
「失注」と「03フェーズ」に該当しない商談は「02フェーズ」にする
ISとFSの役割を明確化
「02フェーズ」はインサイドセールスがフォローする
「03フェーズ」はフィールドセールスがフォローする
| さらに03商談をISのKPIへ
諸々の変更を加える前、
HiTTO社においては、フィールドセールスが受注まで営業するとなると、業務量が多くなりすぎる
という状態が慢性化していると書きました。
「MKTやISセクションのKPI達成率に比べると、相対的にみてFSのKPI達成率が低いというアンバランスな状態」の根本原因もこのあたりにあると考えました。
この根本原因を解決することが、最終的な受注率(受注数)を増加させることになると考え、「03商談数をKPIにする」という意思決定をしました。
インサイドセールス組織ではKPI達成の難易度がバク上がりするのでなかなか着手できないと思いますが、「インサイドセールスも「受注」に紐づいた活動を行わないと意味がないよね」という雰囲気になっていたので、大きなハレーションもなく、KPIの変更も受け入れられました。
KPIを03商談数に変更したことによって、「初回商談前の作戦会議」をマストにしました。
▼作戦会議のルール
作戦会議前に、フィールドセールスは事前に引き継ぎメモを読み込み、商談の進め方の案を作成
作戦会議では、その商談の進め方案をインサイドセールスに説明し、インサイドセールスからフィードバックを行う
そしてこうした変更に伴い、インサイドセールス側で「受注」への意識が高まり、本質的な活動とは何か?を今まで以上に思考するようになったと言うのは、大きな副産物でした。
03商談の最大化を目指してISの体制もテコ入れ
インサイドセールスチームが03商談を創出するには、2つのルートがあります。
① 初回商談(01商談)からのダイレクト03商談
② 02商談からの03商談
実は、①と②の商談創出の動きは違っているので、脳内のスイッチングコスト(負荷)が意外と高いです。
ざっくりいうと、、、
① で特に大切になってくるのが、瞬発力と行動量
② で特に大切になってくるのが、過去商談の読解力と適切な提案力
そのため、①だけをKPIに持つ担当者と②だけをKPIに持つ担当者に分けることによって、業務効率化も行いました。
諸々のテコ入れを行った結果、具体的な数値は出せないですが「初回商談」から「03フェーズ」へ転換する確率が●倍以上になったことから、今後フィールドセールスもクロージング業務に集中しやすくなり、受注率も上がってくる目処が立ちました。
| 最後に
もちろん短期的な数字目標達成も大事です。
しかし、自分たちの事業の成功は、どこまでいっても「購買者の成功」の先にしかないということを疎かにしていい訳はありません。
そんなことを改めて強く感じられた取り組みでした。
以上が、実際に取り組んだことです。
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