【帰省】ショートエッセイ
↑上記のものに関連します。
時計の針はああ見えて周りが早いもので、気づけば、2ヶ月近くがすぎていた。
彼に会いに行った。
一緒に行くはずだった友人は結局来れなくて、わたし一人、彼と向き合った。
天候は最悪の中で戻ったけれど
奇跡的にたどり着いた地元。
空気を大きく吸い込む。
彼を探し出すのに骨が折れて、とうとう30分はかかったと思う。
静かに、質感のつるっとした、冷たい石。
側面にはしっかり彼の名前があって、指でその削られたのをなぞって下へ滑らす。
二十歳。
波が寄せる。大波だ。
大涙。
キザだった彼に似合うような、フリルの花を買ったよ。白のフリル、良く似合うね。
お菓子はほら、好きだった高めのアポロね。
たんとお食べ。
線香の煙にきっと鼻をつまんでるね。
さすがに友達なだけの彼に、泣くところを見られるのは恥ずかしくて、下を向いてばかりだった。
病死だった。
ほっと、なにかが背中から降りた。
良くないけど、良かった、ほんとに。
ちゃんと天国まっしぐらで行けたね。
ちゃんと隠居生活楽しめてるね。
安心した。
今回の帰省で彼の件も片付いたし、私もこの先のとりあえずの方針が決まった。
ちゃんと荷物は地元で下ろせた。
明日の朝、また、東京。
ちゃんと軽くなった。
ちゃんと前を向けた。
ちゃんと、また、人混みでもやってけそう。
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