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きもの文化検定1級 試験勉強で苦戦したジャンル【ノート公開します!】
はじめに
きもの文化検定1級は、合格率が毎年10%前後の試験です。試験勉強を始めて、その範囲の広さと深さに圧倒されました。特に、勉強を進める中でもともと苦手意識があり「覚えるのが大変だ…」と感じたジャンルがいくつかあります。
この記事では、私が1級試験で苦戦したジャンルを振り返り、その対策として作成したノートを公開します。実際の試験で得点できたかどうかも記載していきますので、これから1級に挑戦される方にとって、少しでも役立つ情報になれば嬉しいです。
歌舞伎の文様や役者考案の色
恥ずかしながら、私は歌舞伎にあまり馴染みがなく、勉強を始める前までは、文様を見ても「歌舞伎由来だな」と認識できる程度の、ぼんやりした理解にとどまっていました。しかし、きもの文化検定1級では、これらの文様とそれに関連する人物名をセットで覚える必要があります。また、文様を描いて解答する問題もあるため、勉強開始時から苦手意識を少しでも減らしたいと思っていた分野でした。
例えば、「六弥太格子」といえば市川団十郎、「路考茶」といえば瀬川菊之丞など、特定の人物に結びついた文様や色があります。役者名を縞や格子と共にデザインし、グラフィカルに表現しているのが粋だと感じます。文様、人物名、文様の特徴などを記載したノートを地道に作り、繰り返し見直すことで記憶に定着させました。
第19回の試験で出題されたのは、芝翫縞の縞部分が白抜きになっており4本線を描かせる問題(問30)、亀蔵小紋と水玉模様の違いがわかるように描かせる問題(問32)でした。
芝翫縞はパッと思い出せず少し悩みましたが、「シカン」→「鐶(カン)は書いてある」→「シの縞」→「四本の縞」というふうに連想し、回答することができました。
亀蔵小紋は「ぐるぐるうずまき」の記憶が定着しており、難なく回答することができました。ただ、水玉模様はノーチェックでしたので、どのくらいの大きさの円をどのように配置するか、線のままにするか塗りつぶすか、とても悩みました。亀蔵小紋に倣って、大小さまざまの円を適当に散らして塗りつぶして描くこととしました。問30、問32どちらも正解することができました。
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家紋の器物シリーズ
きもの文化検定1級の試験では家紋に関する出題もあります。植物モチーフの5大家紋、10大家紋の変化系は2級で覚えていた知識ストックがあったので、変化紋は比較的すぐに覚えることができましたが、器物モチーフの種類の多さ、抽象化されているものを実物と結びつけてイメージすることに、予想以上に苦戦しました。
過去問を解いても解いても、初めて見る家紋に出会うため、過去に出題された家紋をノートにまとめていきました。さらに、家紋の本を図書館で借りて日頃から眺め、日頃から「こんな家紋もあるのか〜!面白いっ!」と思う時間を増やしていました。
第19回の試験では、「見立て」で何で何を見立てているか問う問題(問31)が出題されました。見知らぬ器物モチーフでなくホッとしましたが、見立てはノートにまとめていないノーチェックの変化紋でした。
例題として「鷺桐」の記載があったため、「鷺によって桐」を応用し、「蝙蝠(こうもり)によって桐」は正解することができましたが、「扇によって蝶」は「蝶によって扇」と回答してしまいました。答案用紙を提出したときは、正解の自信があったので、解答速報を見て「あぁ〜っ、逆だった(悲)」と落胆したのを覚えています。菊もわからなかったため、家紋に関する出題で2点落としてしまいました…。なお、蝙蝠はひらがなで回答しました。
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源氏物語からの出題
第19回の試験範囲は「葵」でした。源氏物語は高校の古典の授業で触れたことはありますが、「あさきゆめみし」が教科書・参考書代わりであったほど、古典は苦手分野でした。それでも、出題範囲がある程度決まっていて、山を張れるのは源氏物語の5点分のしかないため、対策を立てて取りこぼさないことが必要だと考えていました。
例年の出題では、平安装束の名称や色名を答えさせる問題が多い傾向だったため、装束名称や色名が出てくる文章は全て書き出していきました。また、器物を数える単位や、わからない単語は調べてノートへ書き込んでいきました。
第19回試験で出題されたのは、やはり色、装束名を答えさせるもの(4問)と、さらに萱草色の説明を記述する問題(2点)でした。
徹底的にノートを作っていたため、鈍色、指貫、袙、汗衫は難なく正解することができました(4点獲得)。萱草色の説明は、色のイメージ(いわゆるオレンジ色)は頭の中に浮かんだのですが、うまく説明することができませんでした。「赤みが強い黄色」と回答したので、1点くらいもらえてたり…するのかな。
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おわりに
きもの文化検定1級は、きものそのものの知識だけでなく、歴史や文化全般に深く踏み込んだ内容が問われる試験で、幅広い分野を学ぶ必要があります。
勉強はもちろん大変ですが、きものをより深く知り、知れば知るほど楽しめる財産にもなります。苦手分野にはなかなか手が伸びないこともありますが、触れる時間を増やし、徹底的に向き合うことで、点を伸ばすことができました。
この記事が、これから1級を目指す皆さんの学びのヒントになれば幸いです。