別れはきっと、自分をさらに強くしてくれる
この季節になるとスーパーのお団子コーナーには、「さくら大福」が並ぶ。桜の花びらがちょこんと乗っかった「それ」は、薄いピンク色をしている。なぜか、好きというわけではないけれども、かごに入れてしまう。
口に入れると甘さの中に、ほんのりしょっぱさのあるさくら大福は、別れの季節にふさわしいと思う。まるで、涙のしょっぱさを混ぜ込んでるみたいだから。
別れというと、寂しい、悲しいというマイナスのイメージが中学生のころまで大きかった。でも、別れを知らないと人は強くなれないということを大人になってから知った。
別れを知っているものは、出会いや時間に限りがあることを知っている。だからその、限りある時間を大切にしようと思えるし、そこから人は学ぼうとする。
思い返すと、あの頃、楽しかったな。なんて思えるのも、別れがあるからだ。別れは決して悪いものじゃないな。なんて思いながら口いっぱいにさくら大福をほおばっている。