映画#85『パシフィック・リム/アップライジング』
ロボットとモンスターがぶん殴り合う『パシフィック・リム』、その続編。
全体的な感想としては、イェーガーや怪獣の挙動が良くも悪くも軽くなったといった感じ。
前作は両方動きが鈍重だった分、その巨体の一挙一動は非常に重みがあったように思えた。
イェーガーの繰り出す拳が、怪獣に激突する瞬間(その逆もまた然り)……その衝撃はまさしく震天動地の如し。
が、今作はどちらも動きがより軽快かつスタイリッシュになり、その分重みのある動きが排除された。
これによりイェーガーがどういう動きをしているのか、などは分かりやすくなった、ものの……
やはり我々が求めていたのは「重み」だった。巨大なロボットと怪獣が戦う上で「迫力」は決して欠かせない。
その点では、今作は前作よりも「迫力」という面では劣っていると言える。
また、今作のイェーガーはどことなく「小綺麗」なのも、私としては正直気に食わない。
前作の主人公が主人公が搭乗していた「ジプシー・デンジャー(今作は後継機であるジプシー・アベンジャーが登場)」。
比較的旧世代のイェーガーであるため、性能などはどうしても他の最新型のイェーガーには劣るが……
ボディについた古傷や煤、一見ボロボロに見えるその姿は、まさしく「歴戦の勇者」そのもの。
そんな超カッコいいロボットが、怪獣をぶん殴る訳である。男子であれば、これで興奮しないわけがない。
が、今作に登場するイェーガーたちは最新型であるためか、どことなく洗練された印象がある。
(前作から10年もの歳月が経っているため、仕方ないのも頷けるが。)
「それが『パシフィック・リム』の本題じゃないだろう」というのも分かる……分かるけれども……っっっ
その一方で、ジプシー以外のイェーガーたちの活躍もしっかりと描かれているのは、私としては評価すべき点だと思っている。
前作も今作も、ジプシー以外に3体のイェーガーたちが登場した。
が、前作は3体のうち2体は登場から数十分後に大破。パイロットもそこで殉職してしまっている。
かなり個性的なフォルム・性能をしていたために、早期退場というのは非常に勿体無かったのでは、と私は感じていた。
打って変わって今作は、3体とも(終盤のみではあるが)いい活躍を見せており(ヘッダー画像参照)、
それぞれの機体が持つ個性や特徴なども十分に活かされていた。
(個性的という面においては前作の方が上かもしれないが……)
評価的な面で言えば、やはり前作の方に軍配が上がるだろう。
が、今作ならではの良さもしっかりあるので、ただ「駄作だ!!」と言い張るのは少々いただけないのではないかと思う。
(というより監督の違いが大きかったかもしれない……単に、前作はデルトロだったから成功した、という話ではなく)
それではまた、次の映画にて。