映画#21『ソー:ラブ&サンダー』
作品の概要
『ソー:ラブ&サンダー』
(Thor: Love & Thunder)
監督:タイカ・ワイティティ
脚本:タイカ・ワイティティ、ジェニファー・ケイティン・ロビンソン
製作:ケヴィン・ファイギ
出演:クリス・ヘムズワース、ナタリー・ポートマン、クリスチャン・ベール、テッサ・トンプソン、ジェイミー・アレクサンダー、タイカ・ワイティティ、ラッセル・クロウ、他
製作会社:マーベル・スタジオ
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ
公開:2022年7月8日(米国、日本)
上映時間:119分
数々の悲劇を背負いし「雷神様」のコメディ&ラブストーリー
序盤にてタイカ・ワイティティ監督が演じるコーグの口からコメディ調で語られるは、アスガルドの王子にして雷神様…ソー・オーディンソンの過去だ。
数あるMCUのキャラクターの中でも特段明るく大胆な彼だが、今までの物語の中で失ったものはかけがえのないものばかりだ。父親のオーディン、弟のロキ、故郷のアスガルド、そして数多くのアスガルドの民。
『アベンジャーズ/エンドゲーム』の後、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシーと共に行動していた彼だったが、その様子はどこかよそよそしい。まるで再び失うことを恐れているかのように。
そんな彼を、ワイティティ監督は『バトルロイヤル』と同じようにコメディ調で描いた。ノリとギャグでこちらを全力で笑わせようとするスタイルの中に、しっとりとソーの沈んだ気持ちを落とし込んでいるのは、やはり流石としか言いようがない。
そんなソーに立ちはだかるは、「神殺し(ゴッド・ブッチャー)」の異名を持つ男・ゴア。自らが信仰していた神に見捨てられたことで神の憎悪を膨らませ、各地で数多くの神々を手にかけている。
だが彼もまた、娘というかけがえのないものを失っていた。どれだけ信じても崇めても救ってくれぬというのなら、そんなものなど滅ぼしてしまえばいい。信仰していた神を手にかけ、全ての神を殺すと自らに誓う。
復讐に燃える彼を止めるべくソーは行動に出る。マルチバースなどの難しい設定が出てこない、「正真正銘のヒーロー物」は実に久々のような気がする(『シャン・チー』以来かも?)。
ヴァルキリーが国王を務める「ニュー・アスガルド」にゴアが襲撃してきたと聞いて、急遽地球へ舞い戻るソー。そこで彼は、新たなマイティ・ソーとなった元恋人のジェーン・フォスターとの衝撃的な再会を果たす。
ナタリー・ポートマン演じるジェーン・フォスター。MCU作品には『マイティ・ソー/ダーク・ワールド』以来の出演となる。だが、長い歳月の間にジェーンはガンを患ってしまった。
彼女の長生きするという願いのもと、ソーのかつての武器であったムジョルニアは彼女に力を与えたが、変身する度にガンに対する抵抗力を失っていくという欠陥を抱えていた。
喪失を抱えた自分と、徐々に命が削られてゆく元恋人。「己とは何なのか」を模索するソーは、最終的に「愛」を選んだ。消えゆくジェーンに寄り添う彼を見たゴアは、「全神々の抹殺」ではなく「娘の復活」を願いソーに託す。神に対する希望を捨てていた彼にとって、民を率いて愛するものを救うソーこそが、まさに思い描いていた神そのものだったのだろう。
こうしてソーはゴアの娘ラブを引き取り、宇宙で人助けを行う「ラブ&サンダー」として語り継がれるのであった。
まとめ
(なんか「総評」だと上から目線な感じがしたのでこれからは「まとめ」にしようと思います)
物語が深いとかじゃなく、ただただ純粋に「面白かった」。これに尽きる。勢いで笑わせようとするスタイル、個人的に大好きです。特にあのヤギの叫び声はずるい。
『バトルロイヤル』の時の『Immigrant Song/Led Zeppelin』(移民の歌)のように、今回も一昔前のバンド「Guns N' Roses」の楽曲を取り入れている。これがまたいい雰囲気を醸し出している。ワイティティ監督とソーの映画、あまりにも相性が良すぎじゃなかろうか。
あと劇中に出てきたソー以外の神様が揃いも揃ってクズっぷりを発揮しているの、結構神話に忠実で笑ってしまった。ゼウスもすごいやつだけど中身は女たらしクソ野郎だからね。
さて、長いようで短かったフェーズ4もそろそろ終わりが近づいてきている。次は『ブラックパンサー/ワカンダ・フォーエバー』。故チャドウィック・ボーズマンがいないブラックパンサーの物語をどう描いていくのか…あと確実に泣いてしまう気がする。予告編で少し危なかったもの。
それではまた次の映画にて。
参考↓
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?