映画#20『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』
作品の概要
『仮面ライダーアマゾンズ THE MOVIE 最後ノ審判』
監督:石田秀範
脚本:高橋悠也
原作:石ノ森章太郎
出演:藤田富、谷口賢志、武田玲奈、姜暢雄、他
公開日:2018年5月19日
上映時間:100分
人かアマゾンか、全てが決する最後の物語
Amazon PrimeにてSeason1、2とドラマを展開してきた『仮面ライダーアマゾンズ』、その最後を締めくくるのが今作だ。
TVシリーズの仮面ライダーと比べてバイオレンスな描写が強いのがアマゾンズの特徴であることは周知の事実だが、オリジナルのストーリーとしては初(今作の公開前にドラマ版を劇場版として再監修し公開している)である劇場版でもそれは健在だ。だがそれでもやはり劇場版という理由からか、Season2よりかはグロテスク要素は控えめになっている。
今作から新たなアマゾンの新種として「畜産アマゾン」が登場。その名の通り「食用アマゾン」であり、今までに登場したアマゾンとは違い人畜無害である。
人とは似て非なるアマゾンを家畜として飼い慣らし食らう「アマゾン牧場」…倫理的にどうなのかを疑いたくなるこのプロジェクトを生み出したのは「仮面ライダーアマゾンネオアルファ」こと御堂英之助、そしてシグマ計画の発案者・橘雄悟だ。
お察しの通り、「生きたい」と願った一人のアマゾンの少女「ムク」の反逆により計画は頓挫。怒りを露わにした御堂が「家畜風情が人間様に歯向かうんじゃねぇ」と吐き捨て、逃げ惑うアマゾンの少年少女たちを虐殺する様は非常に胸糞悪い。
だが、このアマゾンズの物語においてやはり欠かせないのが水澤悠、鷹山仁の二人の存在だ。
それぞれアマゾンを「守る」者、「狩る」者としてSeason1から対立してきた二人。今作においても、家畜のアマゾンと出会い彼らを守ると誓った悠と、今も尚「全てのアマゾンを殺す」という使命に囚われている仁が衝突する。
「お前がアマゾンを守ろうとすれば、俺は何回でも殺しに来るぞ」と悠に告げる仁。各々の願いを叶えるためには、どちらかが死ななければならない。
血みどろの決戦の結果、仁は悠に腹を貫かれ、幻の七羽に看取られ死亡。結局は彼の願いは潰えたが、果てしない使命に囚われていた彼も、ようやく救済が舞い降りたと言えるだろう。
そして悠も、守りたいと願った存在(ムク)を喰らったことの後悔により自害しようとするが、美月の願いにより生きることを選択する。最後はバイクに跨り、美月とアマゾンの少年少女たちが住まう孤児院を後にするのだった。
総評
遂にアマゾンズシリーズを完走。いやぁ長かった。仮面ライダーに触れたのは小学生に観た『仮面ライダーオーズ』ぶりだろうか。ともかく、以前よりも興味が湧いてきたのは事実だ。
…さて、今作『最後ノ審判』は意外にも不評の作品となっている。その主な理由が物語の構成だ(やはり脚本家が変わってしまったのが原因か)。正直私も観ていて「あれ?」と思ったシーンはいくつかある。記事の締めくくりにこんなことを言うのは少々歯切れが悪い気もするが、ここでは私個人が疑問に思ったことを抜粋していく。
まず今作においてメインの要素の一つとなる畜産アマゾンも、Season2の「残ったアマゾンは悠と仁の二人だけだ」という趣旨に反している。というか、Season2の要素が比較的少ない(Season2初登場で続投の登場人物は4Cの黒崎隊のみ)ように思える。せめて千翼とイユに少しでも触れて欲しかった感は否めない。
一方、御堂英之助のキャラクター性、仮面ライダーアマゾンネオアルファのビジュアルは個人的に非常に好みだ。あの人間のエゴイズムを詰め込んだかのような人間性、「チェーンソーと銃」という今までのアマゾンと比べると非常に人間らしい武器でアマゾン(=家畜)を虐殺するという行動、まさに完璧だったと言える。
次に橘本部長のキャラクターの一貫性についてだ。物語の全編を通して「アマゾンのビジネス化」に精を注いでいた彼だったが、最初は水澤冷華に軽くあしらわれるようなネタ寄りのキャラクターだったものの、物語が進むにつれ非人道的な一面が露わになっていき、まさに今作における「人間の狂気」を体現していたと言えるだろう。
だが最終的には水澤冷華に告発され、黒崎に足を撃たれ悶絶する。この時一気に初期のような小物感のあるキャラクターに戻ってしまったのが少々腑に落ちなかった。あの冷酷さと野心が混ざり合ったかのような迫真の演技が好きだったのに…
思えば、今作は結局ラストシーンの「オメガ vs アルファ」もとい「悠 vs 仁」を描きたかったのだと思う。特にアマゾンオメガの変身は原作オマージュである。どうせなら仁もまた叫ばせれば良かったのに、とは思ったが。Season1の頃から絶望的なまでに対照的な二人が、最後の最後で最早人間とは思えないほど野生的な叫び声を上げながら、殺すか殺されるかの戦いを繰り広げる様はやはり圧巻だ。
どこから初期のアマゾンドライバーを持ってきたのかは敢えてツッコまないとして、
と、本当に本当の最終回としては少々残念な出来になってしまった今作だったが、個人的には満足できた。子供の頃観た仮面ライダーとは大きく異なるものの、やはりいつ見ても「かっこいい」と思わざるを得ない、と痛感した。
そしてご存知の通り、今年から同じくAmazon Prime独占配信で『仮面ライダーBLACK SUN』が始動する。『仮面ライダーアマゾンズ』と同じく、過去に放送したTVシリーズのリブート作品となるが、名前の通りこちらは『仮面ライダーBLACK』のリブートだ。当然コンセプトは異なるが、再び「大人の仮面ライダー」が観れるとなるとワクワクが止まらない。非常に楽しみである。
というわけで、Season1、2の記事に加え本記事まで閲覧してくださった読者の皆様、今までありがとうございました。自分なりに感想を述べてみましたが、これらを読んで少しでも『アマゾンズ』に興味が湧いたら私としても感無量でございます。
これからも何卒よろしくお願い致します!!
参考↓