映画#43『スパイダーマン3』
復讐、贖罪、そして離別…孤独な英雄の最後の戦い。
サム・ライミ監督によるスパイダーマン三部作、その完結編。
身体を砂へと自在に変えられるサンドマン、グリーン・ゴブリンの後継者たるニュー・ゴブリン、そして地球外生命体である寄生生物ヴェノム。新たなる三体のヴィランに、スパイダーマンはどう立ち向かっていくのだろうか。
ピーター・パーカーの心情について大きく掘り下げるこの三部作において、今作のピーターは(序盤は)幸せの絶頂期にいたと言えるだろう。NYではスパイダーマンは大人気、学業もうまくいっており、何よりMJとの交際関係も順風満帆。
しかし幸せというものが長く続けば、人はそれを「当たり前のもの」と知覚してしまうものだ。スパイダーマンの大活躍を祝う式典で、彼はかつて命を救ったグウェン・ステイシーにキスをしてしまう。MJと初めて唇を重ねた、あの時と同じように。
これをきっかけにMJとは喧嘩別れしてしまう。更にそこへ追い討ちをかけるようにピーターの叔父ベンを殺害した真犯人が発覚したという情報が入る。MJに関してはあの時のお前も恋人いるのにスパイディにキスしたろ、と言いたい所だがとりあえず黙っておこう
序盤と打って変わって段々とやさぐれていくピーター。そこへ謎の黒いアメーバ状の生物シンビオート(後のヴェノム)の足が忍び寄る。ピーターは黒いスーツを纏ったブラック・スパイダーマンとなり、スーツがもたらす高揚感に酔いしれることとなる。
新たなる力を手に入れたピーターは、叔父を殺した真犯人であるサンドマンことフリント・マルコを殺害。更にニュー・ゴブリンとなった親友のハリーの家にも赴き、彼も返り討ちにしてしまう。
最愛の親友を手にかけたのにも関わらず、あっさりと家を出ていくピーターには正直ぞくっとしてしまう。いつもの優しさがない、まるで別人のように変わり果てたピーター…その原因はあのシンビオートにあり、その影響で性格が凶暴化していることが判明した。
街中で唐突に踊り始めたり、いつも酷い扱いをされている編集長に横柄な態度で接したり、果てにはスパイダーマンのフェイク写真を撮ったエディ・ブロックを解雇まで追い詰めたりと、やりたい放題なピーター。
(優しいけど気弱なピーターとは真逆なのも、それはそれで新鮮味があるが。黒いスーツも純粋にかっこいいですし。)
愛するMJにも暴力を振ってしまったことで、目を覚ますピーター。教会の鐘の音を利用して(シンビオートは大きな音が弱点)なんとかシンビオートを引き剥がすことに成功する。
が、今度は同じく教会にいたエディにシンビオートが寄生してしまう。ピーター、そしてスパイダーマンに復讐心を持つエディはすんなりとシンビオートを受け入れ、「ヴェノム」となってしまう。
ヴェノム、そしてサンドマンはスパイダーマンを互いの共通の敵として結託し、MJを人質にスパイダーマンを誘き寄せる。
未だかつてない脅威に歯が立たず、窮地に陥るスパイダーマン…そこへ改心したニュー・ゴブリン/ハリーが助太刀に参上。途中途中で諍いはあれど、一番最初の作品から親友同士だった2人の息ぴったりな戦いは必見だ。
しかし、戦いの最中ハリーがピーターを庇い致命傷を喰らってしまう。彼を貫いた刃は、奇しくも父と同じグライダーのものだった。
しかし孤独に死んでしまった父とは違い、ハリーは最愛の親友である2人に看取られながら、穏やかな死を迎えるのだった。今までのシリーズにおけるこの三人の関係を考えると、やはりこのシーンは涙なしでは見られない。
サム・ライミの三部作において、今作は少し評価が低い。だが完結編としては、十分なボリュームだったと個人的には思う。
激しく悩み、葛藤し、それでも多くの人々を救ってきたスパイダーマン。そんな彼の姿を、15年の時を経て再び劇場で観れるとは、当時思いもしなかっただろう。
まとめ
無心に書いていたらなんだか長くなってしまった。感想じゃなくてあらすじを淡々と書いてしまうこの癖、そろそろやめないと。
他の人たちも言ってるようにやっぱりこのヴェノムはなんか違う。やたらと細いし、爪生えてるし、化け物みたいな鳴き声しか発さないし。これはこれで「ヤベェエイリアン」感は出てるけども。
(ヴェノムとはなんぞや?と思ったらこれを読んでみてくだせぇ。↓↓↓)
次はアメイジングな彼を観なければ。だけどその前にスパイディ以外の作品も書きたいな。
それではまた、次の映画にて。